2021.06.24 CO₂、水素、アンモニアの輸送・供給JAPEXとJFEエンジ、技術を共同検討

天然ガス火力発電所にLNGを供給しているJAPEXの相馬LNG基地(福島県新地町)

 石油資源開発(JAPEX)と、プラント建設などを手がけるJFEエンジニアリング(東京都千代田区)は24日、カーボンニュートラル社会の鍵となる二酸化炭素(CO₂)などについて、輸送と供給に特化して共同で技術検討することに合意した、と発表した。新たなエネルギーとして注目される水素、アンモニアも対象に含み、大量輸送時に既存のパイプラインでの供給が可能かなどの検討を進める。6月末にも協議を始める。

 国が掲げた50年カーボンニュートラルを後押しするため、回収したCO₂を有効活用するカーボンリサイクルなどの手法について、民間企業が収益事業化できるかに期待が高まっている。JAPEXも既に、三菱ガス化学とCO₂を分離、回収、利用、貯留するCCUS技術の確立を目指して共同事業の検討を公表するなど、業界横断的な取り組みが加速している。

 ただ、「CO₂を排出する場所と、実際に利用する場所を、どうつなぐかを検討する優先度が相対的に下がっている」(JAPEX)とされ、JAPEXとして焦点を当てることにし、これまで一部の設備建設などで協力してきたJFE側に呼び掛けた。

 国内の油ガス田で天然ガスを生産するJAPEXは、ガスを流通させるため、パイプライン網やLNG(液化天然ガス)基地などを組み合わせたガス供給のノウハウを持つ。さらに、福島県新地町で20年4月から稼働する天然ガス火力発電所の運用などを手掛ける実績もある。

 CO₂の供給方法について、液化してタンカーで運搬したり、既存のパイプラインを転用したりする方法などを、両社の知見を持ち寄り、安全面などから課題を洗い出す。そのうえで、将来の事業化を見据えて、必要な技術検討を進める。

 また、化石燃料に代わる新エネルギーとして注目される水素やアンモニアについても、共同検討の対象にした。水素は、液化するのにマイナス253度まで冷やす必要があるなど、運搬が難しく、大きな課題を抱える。水素の「キャリア」として役立つアンモニア自体も、危険物で取り扱いに配慮が必要になるという。

 発電燃料としての活用が模索されている水素やアンモニアの供給には、「現行のガスパイプラインを共用する可能性がある」(同)とされる。現状で発電所につながった同社のパイプラインも数カ所あり、将来の顧客からの要望を見据えて検討を進める。ただ、水素は既存のパイプラインの腐食を進行させやすいことなどが分かっているという。

 JAPEXは、カーボンニュートラルに貢献する新規の事業について、規模にかかわらず30年までに実証を開始する方針だ。今回の共同検討は、そうした事業をインフラ面で支える技術となり、数年後をめどに取りまとめて、実証への準備に入る。