2021.06.25 東芝、永山取締役会議長の再任否決経営混乱が長期化か

定時株主総会の会場に入る東芝の株主ら=東京都新宿区

 東芝は25日、東京都内で定時株主総会を開き、計11人の取締役選任議案のうち、永山治取締役会議長(中外製薬名誉会長)ら2人の再任が反対多数で否決された。昨年7月の定時総会で一部株主に圧力をかけたとされる問題で経営陣への不信感が高まる中で株主は、「再建の旗振り役」として招かれた永山氏の責任を重くみた格好だ。経営を巡る混乱は長引きそうだ。

 東芝は取締役選任議案を諮り、監査委員会委員の小林伸行氏の再任も否決。綱川智会長兼社長ら9人は可決された。

 綱川氏は冒頭のあいさつで、「株主をはじめとするステークホルダー(利害関係者)との信頼回復に努める」と強調。物言う株主に対しては「株主価値を上げたいという思いは同じ。いろいろなタイプの投資家がいるが、しっかりと対話を続けたい」と述べた。

 続けて永山氏は一連の問題に触れ、「取締役会全体として指摘を重く受け止めている。外部の第三者の参画も得て、速やかに客観的で透明性のある徹底した真因と真相を究明し、責任の所在の明確化と再発防止策のとりまとめを行い、今後の経営改善に生かす」と語った。

 東芝が昨年7月に開いた定時総会について調査していた外部弁護士は10日、「公正に運営されたものとはいえない」と結論づけた調査報告書を公表。報告書を受けて同社は、指摘された社外取締役2人を取締役候補から除外するなど株主の理解を求めてきたが、出席した株主からは厳しい声が相次いだ。

 報告書を巡っては「(2015年に発覚した)不正会計問題と同じ香りがする」といった声が浮上。これに対して綱川氏は、「不正会計問題は真摯(しんし)に反省し、コンプライアンス(法令順守)意識の改革、人の改革などで改善してきた。今回の問題は調査報告書にあったように、株主の権利をないがしろにするようなコーポレートガバナンスコード(企業統治指針)に反することがあったのでないかということだった。これに関しては、真摯に重く受け止めている」と述べた。

 東芝は取締役選任議案で永山取締役会議長らの再任が否決されたことについて、「議案の一部が否決されたことを真摯に受け止める」とコメントを発表した。総会には183人の株主が出席し、当日の質問者は17人。開始から2時間42分で終了したという。