2021.07.02 【家電総合特集】空気清浄機各社、増産体制強める B2Bで需要開拓・普及へ

健康・清潔意識の向上で空気清浄機への関心がいつになく高まっている

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、健康や清潔意識の向上につながり、在宅時間の増加と合わせ、室内の空気質に対する関心を高めたことで、空気清浄機の販売が2020年度は過去最高の販売台数を記録した。

 日本電機工業会(JEMA)の出荷統計によると、20年度国内の空気清浄機市場は、過去最高の出荷台数となる358万6000台(前年比176.9%)を記録するなど、大きな需要があった。国内市場で出荷台数が300万台の大台を突破するのはこれが初めてだ。

 21年度もコロナ禍により、引き続き清潔・健康意識は持続するとみられることから、依然強いニーズが見込めそうで、空気清浄機メーカー各社では商品戦略を強化する一方、増産体制を強めながら、住宅用などB2Cチャンネルでの販売はもとより、店舗、クリニック、オフィスなど、B2Bチャンネルでの需要開拓を図りながら、さらなる普及を目指す。

 国内空気清浄機の市場では、シャープがシェアトップであるが、パナソニック、ダイキン工業も高いシェアを持ち、大手3社が市場をけん引する格好だ。

 さらに外資系を含め、新規参入メーカーも多く、シェア争い、商品開発競争は活発な展開を見せている。

 空気清浄機の需要は、本来花粉シーズンとなる下期(10~3月)が大半を占めているが、20年度は上期から好調が続き、当初は商品供給が逼迫(ひっぱく)する場面も見られた。

 新型コロナウイルス感染症の猛威はなかなか収まらず、今年春には緊急事態宣言が再び出される地域もあり、収束の兆しが見えない中で、人々の室内の健康・衛生・空気質への関心は継続しており、今期も引き続き空気清浄機の需要は高止まりしそうだ。

 空気清浄機への関心の高さは、特に高付加価値モデルが各社健闘したことにも表れている。シャープでは「高級タイプの販売が好調に推移」したほか、ダイキン工業では「うるるとさらら空気清浄機」(除加湿空気清浄機)が前年の3倍増、パナソニックでも高級機の次亜塩素酸 空間除菌脱臭機・ジアイーノが前年比倍増するなど好調だ。

 こうした中、空気清浄機メーカーの大手各社では増産体制を図り、高まる市場ニーズに応える。ダイキン工業では、中国での委託生産に加え、自社マレーシア工場に生産ラインを新設し、昨年12月から稼働を始めたほか、国内の滋賀製作所(滋賀県草津市)でも新たに生産ラインを立ち上げた。

 トップシェアのシャープも、新たにベトナム工場に生産ラインを新設、海外3拠点での生産体制でグローバル需要に対応する。

 またパナソニックは、次亜塩素酸 空間除菌脱臭機ジアイーノの生産能力を昨年度は前年の3倍に引き上げて市場に対応するなど、各社旺盛なニーズに応えている。

 今期各社では、業務用分野での需要開発に力を入れ、より高性能な商品開発に力を入れるなど、市場の裾野を広げる動きも力を入れている。