2021.07.02 【家電総合特集】洗濯機洗剤・柔軟剤自動投入機能を搭載、購入サービス提案が本格化

コロナ禍でドラム式のニーズが一層高まっている

 コロナ禍による在宅時間の増加に加え、衛生・清潔意識の高まりで洗濯する機会が増えた。洗濯機では、ドラム式洗濯乾燥機のように付加価値の高い製品の需要が一段と強まっている。

 日本電機工業会(JEMA)の統計では、2020年度のドラム式、縦型を合わせた洗濯乾燥機の出荷台数は123万6000台。前期比8%近い伸びで、洗濯機全体の出荷台数の伸びを上回っている。

 この傾向は今年度に入っても継続。4~5月の洗濯乾燥機は前年同期比7%近い伸びとなり、洗濯機全体を3ポイント程度上回った。在宅時間が増えたことに伴う家事負担を軽減するために乾燥機能が重視された形だ。

 同時に、IoT化を生かしてコロナ禍の生活スタイルに合わせた機能やサービスを提案する動きも本格化し始めている。

 その一つが、液体洗剤と柔軟剤の購入サービスだ。大手家電ではドラム式、縦型のフラッグシップ機を中心に、液体洗剤と柔軟剤の自動投入機能を搭載している。パナソニックが先陣を切って以降、市場での評価が高く、各社は順次搭載を進めてきた。

 自動投入機能を生かした提案が購入サービス。この機能を搭載する機種はIoT対応した製品が多い。タンク内の残量を検知し、洗剤・柔軟剤が少なくなるとスマートフォンに購入を促す通知を出す。購入するかどうかは、購入先として登録してある家電量販店のECサイトからユーザーが任意に選べるようになっている。そこから一歩進み、アマゾンと連携して自動で再注文するサービスも実現している。

 大手家電では、日立グローバルライフソリューションズが19年末にアマゾンと連携した自動再注文サービスの提供を開始。洗濯機のIoT化を活用した新たな提案として注目を集めた。今年4月以降、パナソニックとシャープも購入通知と自動再注文の機能をアップデートにより、実装し始めた。

 JEMAの予想では、今年度の洗濯機全体の出荷台数は468万9000台とわずかながら前年を割り込む見通し。コロナが需要を一部押し上げたとの見方があるからだ。一方で、洗濯乾燥機は118万1000台と前年を上回るとの予想を示す。

 洗濯機のIoT化は毎年、対象機種を広げながら進んでいる。スマートスピーカーとの連携で、運転状況を音声で確認できるようにもなった。

 半面、Wi-Fiへの接続率はそう高くないのが実情だ。IoTを生かした利便性の向上などが訴求しきれておらず、課題も少なくない。

 大手家電が購入サービスと連携したことは、IoT洗濯機の利便性をアピールする機会の一つになり得る。これからの時代は、ハードウエアよりもソフトウエアでの進化が家電でも中心になる以上、IoTを軸にした利便性の提案がますます意味を持ってくるはずだ。