2021.07.16 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組み岡谷電機産業・水内賢二執行役員

水内 執行役員

全体の最適配置に注力

 岡谷電機産業は、コンデンサーやサージなどを主力に手掛ける。「10年後も勝ち続けていくための新商品開発」を掲げ、10~20年先の未来を予想しながら、市場が求めるものは何かを探っている。

 長野事業所はコンデンサーやLED、埼玉事業所はサージアブソーバーやノイズフィルター、コイルが柱。主な研究開発のテーマは、高い信頼性(大容量・大電流・高周波)のコンデンサー開発や、AC/DC電源用のサージアブソーバーの開発、工程自動化に向けた装置の開発などだ。

 コンデンサーでは車載向けへの参入も視野に、耐熱性などを一層強化しつつ、フィルムや蒸着関連分野との連携も進め、製品の向上を図っている。

 またノイズフィルターでは、産業機器向けの箱型パワーライン用などが中心。フィルムコンデンサーやコイルといった固有技術を駆使し、特に高周波対応を強化して、医療機器や電波暗室向けなどに取り組んでいる。

 さらにサージアブソーバーは、以前の主力のガラス管タイプから、セラミックパッケージのSMD対応へシフトを引き続き進める。

 小型化や高性能化、低コスト化の要求が強いことを踏まえたものだ。自動ラインによるプロセス技術を引き続き進め、モジュール化による高付加価値化戦略も強める構えだ。

 センサーでは従来の柱であるエンコーダー関連に加え、生産現場でのロボット向けなどを含め、用途拡大を目指している。また、新構造のフォトインタラプターの開発も進めていく。

 体制面では今年度、企画開発や設計などの部門と現場部門を橋渡しする形で、生産技術部を立ち上げた。

 生産技術の担当者は従来、自動化の装置作りが主な仕事だったが、それにとどまらず生産プロセスの分析などを通じて、品質のばらつきを防ぐなど、一層の向上を図る狙いがある。

 また、かねて横浜国大などと産学連携を推進。人工知能(AI)活用やメカトロニクス関連の研究を進めている。

 他大学とも材料分野などで意見を交換。技術コンサルタントも招き、最先端の知見の取り入れに努める。

 技術本部長の水内賢二執行役員は「各工場がせっかく成果を挙げている独自の工夫を集約し、ベストプラクティスを共有して全体の最適配置につなげる」と抱負を述べる。

 コロナ禍でリモートも増えたが、各部門のイメージ合わせを徹底。研究開発から設計、試作、量産段階まで目線をそろえていく。