2021.07.16 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組みバイコー・半井靖明部長
半井 部長
リーディング企業と協業
バイコーは、インダストリアル、人工知能(AI)・データセンター、自動車を重点分野とし、顧客の最先端の技術革新に貢献している。電源専業メーカーとしての高い技術とノウハウを生かし、小型、高効率、高電力密度の電源製品を幅広い産業に提供する。
同社は米国マサチューセッツ州に本社を置く、電源コンポーネントの専業メーカー。独自の技術力を生かした電源設計・開発を行い、データセンターやHPC、産業機器、ロボティクス、自動車、鉄道、通信、航空宇宙など幅広い分野に製品供給を行っている。
開発は米国本社で集中的に行っている。世界中の拠点で集めた開発ニーズを本社にフィードバックし、地域特性を踏まえた幅広い製品開発を進めている。
日本市場では半導体製造装置やテスターなどを中心とするインダストリアル、AI・データセンター、自動車の3分野を重点市場と位置付ける。製品開発の初期段階から関わり、最終製品に合わせた最適な電源設計に取り組んでいる。
インダストリアルやAI・データセンターを担当する半井靖明部長は「日本市場は最先端技術を有するリーディング企業が多い。海外拠点も含め、業界を代表する企業と共同開発を行うケースも多く、自社の技術力を磨いている」と話す。
今年1月にはボーイング社と協業し、人工衛星向けの耐放射線DC-DCコンバーターを開発。最新のSM-Chipパッケージで、100Vの入力電源から300Wまでの電力を低電圧ASICに供給できる。「人工衛星など特殊用途の製品は高い技術やノウハウが必要」(半井部長)。ドローンや5G基地局などでも協業プロジェクトを推進している。
製品開発のテーマとして注力するのが①小型化②放熱技術③パッケージ技術④大電流対応-の4テーマ。さまざまな創意工夫により、電源性能の向上に取り組んでいる。
これらの技術開発により、電源特性を維持しつつ小型化を進め、最新製品はパッケージベースで第4世代となっている。双方向DC-DCコンバーター「NBMシリーズ」も第4世代の製品で、低インピーダンスで高速トランジェット応答に対応する。
半井部長は「顧客の次世代の技術開発を見据え、開発初期段階からデザインインを進めることで、新しいイノベーションを生み出すことに貢献したい。今後は5G基地局や建機の電動化などのアプリケーション開発を進め、最新の技術トレンドやニーズに応えられるよう、本社と連携して取り組んでいく」と話す。