2021.07.16 【電子部品技術総合特集】国内研究開発拠点拡充が活発化大型拠点新設などが増加

アルプスアルパインが今年開設した仙台ソフトウェア開発センター(仙台市)が入居するビル

 電子部品メーカー各社は、電子部品に対する技術要求高度化への対応や、次世代の技術トレンドを見据えたイノベーションの強化、新規事業の創出などを図っていくため、国内開発体制の強化・拡充を加速させている。

 特に最近は、技術革新が急速に進む自動車や情報通信システム、半導体関連や産業機器分野向けビジネスの強化のための国内での研究開発体制拡充や試験・評価設備増強などの動きが活発となっている。

 同時に、AI(人工知能)/ディープラーニング、IoT、5G(第5世代移動通信規格)といった新たな技術進化が今後創出していく新しい高付加価値マーケットに照準を合わせて、コア技術の深耕や融合、新たなコア技術の獲得のための投資に力が注がれている。

 電子部品各社では、今後本格的に到来するイノベーションの時代に迅速かつ的確に対応するため、国内研究開発体制の再構築などの動きも目立っている。これまで分散化していた開発拠点を集約した大型の研究開発拠点を新設したり、ソフトウエア開発に特化した拠点新設などの動きが進んでいる。

 さらに、国内の新たな中核研究開発拠点をオープンイノベーションの促進に積極活用する動きも活発化している。研究開発施設内に、社内専用エリアに加えて「共創スペース」などを設置し、社内外の多くの人々が出会い、活発に交流、触発、協力しながら新たな価値を生み出すための取り組みなどが進められている。

 個客やアカデミア、スタートアップなどの社外パートナーとの協創空間を設けることで、他社とのコラボレーションを通じた新領域の開拓や技術のブレークスルーなどが志向される。

 主要電子部品メーカーの多くは、新たな領域を切り開いていくため、従来の電子部品にとどまらず、部品周辺技術やアプリケーション側を含む技術の蓄積に力を注いでいる。さらに、「モノ売り」から「コト売り」へのシフトに向けた新たな事業モデル構築への動きも加速している。

 このため、部品各社が採用する技術系人材も、従来の電子部品技術者に加えて、AI関連やIT技術者、半導体技術者、ソフトウエア・システム技術者など、多様化が進んでいる。