2021.07.28 タイで内視鏡医育成に協力オリンパスがプロジェクトに参加

左から、オリンパス執行役員・内視鏡事業担当の河野裕宣氏、総務省の辺見聡官房審議官、昭和大学横浜市北部病院の工藤進英教授、サイバネットシステム医療ビジュアリゼーション部長の須貝昌弘氏

内視鏡画像診断支援ソフトウエアのイメージ画像内視鏡画像診断支援ソフトウエアのイメージ画像

 オリンパスは、タイで内視鏡医を育成する総務省のプロジェクトに参加すると発表した。プロジェクトの協力機関である昭和大学横浜市北部病院の医師が現地の大学付属病院などに派遣される予定で、大腸内視鏡を使っての病変検出から鑑別診断までのトレーニングを8月から来年3月にかけて実施し、指導医の育成に協力する。

 同社は昨年度、インドでの同様の総務省プロジェクトに参画し、インドの大手医療機関と連携して人工知能(AI)診断支援システムの臨床応用について実証調査をした。

 インドでの臨床使用や、日本人医師からの指導・討議を通じて、対象機器である超拡大内視鏡や、AIを搭載した内視鏡画像診断支援ソフトウエアの有効性と今後の普及の可能性が示されたという。

 それを受けて今年度は、タイ消化器内視鏡学会と連携し、サイバネットシステムの協力を得つつ、タイで同様の実証調査を行う。

 タイでは経済成長に伴う食生活の欧米化や高齢化につれて近年、がん罹患率が増加。特に大腸がんはがん全体の中で罹患率が4位、死亡率が3位と高く、社会的な課題となりつつある。ただ、がんの早期発見や治療に不可欠な内視鏡検査の需要増加が見込まれる一方、内視鏡検査に必要な高い知識や技術を持つ医師の数は不足しているという。

 20日に開かれたキックオフ会議で、同学会のノンタリー・パウサワスディ会長は「内視鏡検査におけるAIの経験を高める機会を得られたことに感謝する。私たちのメンバーや次世代の内視鏡医が、診断のための最新技術に関する知識やスキルを身に付けることができると確信する」とコメントした。