2021.10.26 【電子レンジ特集】巣ごもり需要で好調推移食の価値創出に向けた商品戦略
「マイスペック」調理家電のIoT対応オーブンレンジ「ビストロ」NE-UBS5A
在宅時間の増加、内食化の加速は調理家電の販売にもプラスとなったが、調理家電主力商品の一つ電子レンジも、巣ごもり需要が拡大する中、2020年度は好調に推移した。
出荷台数は、前年比108%の358万3000台となり、3年ぶりの増加となっている(日本電機工業会=JEMA調べ)。
内食が進み、家庭でおいしく調理したいというニーズも高く、高級オーブンレンジが中でも健闘した。
また、在宅時間の増加で家事負担が増える中、時短、簡単調理を実現する電子レンジ(オーブンレンジ)が注目された。
家族とおいしい料理を楽しみたいというユーザーも多く、多彩な調理機能を持つ高級オーブンレンジに関心が集まっている。
オーブンレンジにもIoT機能の搭載が進み始めており、調理性能などハード本体の進化と合わせ、調理プログラムの追加、レシピ提案、食材の宅配など、今までにない新しい食の価値創出に向けた商品戦略にも力が入っている。
今年度に入ってからは、昨年度好調だった反動もあって、出荷の伸びは減速しているものの、JEMAの調査では、4~9月が前年同期比5.1%増の163万台(電子レンジ)と上回っている。
JEMAによると、家庭での食事機会が増加したことで、特に前半の4~6月期は高水準が継続し、上期として過去最高の出荷数量となった。7~9月期は前年比を割り込んでいる。
今後、ニューノーマルな生活が浸透することにより、家庭での食事の機会は増えそうで、電子レンジの需要自体は堅調に推移すると見られる。
商品的な面ではIoT対応により、新しい調理メニューのダウンロードで機能を追加できるなど、今までにない使い勝手の良さを訴求することで、安定した需要を掘り起こすことができそうだ。
パナソニックの主力製品
IoT対応「マイスペック」調理家電
パナソニックは、ニューノーマルな生活の定着でユーザーのライフスタイルが多様化する中、一人一人にちょうどいい価値を提供する新しいコンセプトのIoT対応「マイスペック」調理家電として、オーブンレンジ「ビストロ」とIHジャー炊飯器「ライス&クッカー」2機種を9月から発売した。
新シリーズは、世帯の形態が多様化し、商品・サービスに多様な選択肢が求められるようになっていること、また新しい生活様式が定着する中で、自分に本当に必要なものを選んでくらしを再設計する人の増加、さらにライフステージ、ライフスタイルによって調理に関する価値観がさまざまなことなどを背景に開発した。
自分仕様に機能を追加
最初はよく使う機能に絞った基本機能搭載の商品ながら、自分にとって必要な機能を選んで後から追加できる、フルスペックではないマイスペックな調理家電であり、自分仕様にカスタマイズしながら人それぞれのライフスタイルに合った〝ちょうどいい価値〟を提供する新発想の商品提案に取り組む。
新製品のIoT対応オーブンレンジ「ビストロ」NE-UBS5Aは、必要になったタイミングで別売アタッチメント(グリル皿/スチームポット)を購入し、「キッチンポケット」アプリケーションと連携して、自分仕様に機能をアップデートすることが可能な業界初のオーブンレンジとなる。
最初から多様な機能を搭載するのではなく、レンジとオーブンの基本機能からスタートし、食の好みやライフスタイルの変化に合わせて機能を選んでアップデートできる。
別売のアタッチメント(グリル皿・スチームポット)により、グリル料理や蒸し焼き料理の調理ができる。キッチンポケットアプリで、興味があるキーワードを選択すると、一人一人に合ったメニューが提案され、日々の食事も充実する。食のセレクトショップDEAN&DELUCA監修のコラボメニューも配信している。
9月発売以降、液晶とダイヤルだけの操作ボタンやホワイトのみのシンプルなデザイン、上位モデルと同様の平面ヒーター採用により手入れもラクといった点が幅広い世代で支持されるほか、若い世代からはIoTによるレシピ拡張性が魅力的といった声が寄せられているという。