2021.11.03 JLMAが直管LEDの安全規格策定ランプの交換が可能に、発煙・発火など事故を防ぐ
直管LEDランプで誤使用による事故が多数起こっている
オフィスや商業施設、住宅などで広く使われている蛍光灯。代替光源の直管LEDランプは、ランプを設置する器具ごと交換することが基本的には推奨されている。
照明メーカーが加盟する日本照明工業会(JLMA)は昨年11月、蛍光灯器具を交換しなくても、ランプ交換だけでLED化するための安全規格を策定した。
直管LEDランプへの交換に際し、古い器具に設置したり、誤ったランプの種類を選んだりしたことで、発煙・発火などの事故が発生。こうした事故防止につなげるとともに、ランプ交換というLED化しやすい手段で安全規格を策定することで、LEDのさらなる普及につなげる狙いもある。規格に準拠した直管LEDランプが市場に出そろってきたこともあり、JLMAは安全規格の啓発に本腰を入れだした。
安全規格を策定したのは一般的な蛍光灯の口金規格「G13」。2018年7月に安全規格の元となる規格を策定。安全性を担保するための技術基準などを検証し、「JLMA301」として昨年11月に正式に規格化した。会員の照明メーカーにはこの規格に準拠した直管LEDランプの製造・販売に関し、今年に入って本格的に働きかけを開始。9月ごろから、各社の準拠したランプが市場で流通する状況になってきた。
JLMA301に準拠した直管LEDランプは片側給電タイプ。既設の蛍光灯器具に付いている安定器は不要で、交換時には取り外す。ユーザーが簡単に外せないようにバンドなどでランプを留めるといった工事を行うとともに、LED化への改造工事記録を器具に表示することも必要。当然、器具の劣化状態を確認した上で交換することが求められる。
LED化の改造工事のためのガイドライン「ガイド301」も今年4月に策定。新規格の直管LEDランプとともに、電気工事業者への認知拡大や啓発に取り組んでいるところだ。全日本電設資材卸業協同組合連合会や、全国電機商業組合連合会など関連する業界団体に啓発チラシを配布するほか、JLMAのホームページやツイッターも活用して情報発信している。
JLMAによると、直管LEDランプの国内出荷台数は20年度で約670万本。ただ、これは加盟メーカーによる統計であり、実際の市場には非加盟メーカーの製品も多く出回っている。そのため、「実際には倍ぐらいが直管LEDランプの市場規模」(鹿倉智明専務理事)と推定する。
蛍光灯には、点灯方式によって「グロースターター」「ラピッドスターター」「インバーター」の3種類がある。LED化では、ここを誤るユーザーが少なくない。
今回、工業会として正式に安全規格を策定したことで、「(JLMA301に)100%切り替えるというメーカーもある」(鹿倉専務理事)と、メーカー側にも対応を一本化しやすい利点もあるようだ。