2022.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開デンカ
石田 執行役員
5G・xEV向けなど新製品を開発
デンカは、独自技術を生かした電子材料を通じて、幅広い産業分野の技術革新に貢献している。
2022年度(23年3月期)を最終年度とする中期経営計画の仕上げを行うとともに、次なる成長に向けた新製品開発にも取り組んでいく。
同社の電子・先端プロダクツ部門では、成長分野と位置付ける①半導体②5G③ⅹEV④再生可能エネルギー―の4分野に対し、特徴ある製品を供給している。世界中で需要が高まる半導体向けには、封止材用途の球状シリカや電子包材を供給。xEV向けには放熱材用途の球状アルミナやリチウムイオン二次電池用途のアセチレンブラックを取りそろえ、世界中で電動化が進む自動車市場に向けて提案を加速する。
電子・先端プロダクツ部門を統括する石田郁雄執行役員は「21年は自動車の減産や物流面でのコンテナ不足など不安要素はあったものの、どの分野も総じて好調だった。当部門が目標として掲げる営業利益185億円も達成可能な受注状況。22年以降もⅹEV・5G化により、旺盛な需要は続くと見込まれ、さらなる成長につなげる」と話す。
旺盛な需要を受け、生産体制も強化する。22年春には球状アルミナの本格生産がシンガポールで始まる。また、既にシンガポールで生産している球状シリカも新工場の稼働を検討中。両製品ともに大牟田(福岡県大牟田市)-シンガポール2拠点での安定的な供給体制を目指す。
同部門ではさらなる成長に向け、新製品開発にも力を入れる。独自製法で開発した液晶ポリマー(LCP)フィルム「AXSORDER LCP(仮称)」と低誘電有機絶縁材料(LDM)は、5G向け製品として開発を加速する。LCPフィルムは耐熱性や高周波特性に優れ、フレキシブル基板に最適。LDMは5Gのミリ波帯使用を見据え、銅張積層板や層間絶縁材向けに提案する。
半導体向けには、UVによる接合・剥離が可能な「高耐熱仮固定材(TBM)」を開発中。パワー半導体の研削・研磨工程での使用を想定しており、300度の耐熱性と低アウトガス性を有する。22年度中の製品化を目指す。
石田執行役員は「22年度は当社にとって中期経営計画の最終年度であるとともに、次期中計の策定を進める重要な年。30年を見据えた増産投資と新製品の実績化を戦略の軸とし、持続的な成長を目指す」と意気込む。