2022.03.01 ガソリン高対策、大幅拡充へ 上限支給3週据え置き

ウクライナ情勢悪化受け原油高騰の見通しつかず

 ロシア軍がウクライナに侵攻したことを受け、政府は、影響が広がるガソリン高対策を大幅に拡充させる。資源エネルギー庁が2月24日に発表したレギュラーガソリンの全国平均価格(21日調査)は前週比0.6円高の172円となった。24日以降は補助の上限となる1リットル当たり5円の支給を続けている。萩生田光一経産相は閣議後会見で「支援を深掘りすることを含め、関係省庁と連携して追加的な措置を速やかに講じていく」と述べた。

 エネ庁によると、21日調査では、原油の値上がり具合などから177円と予測されたが、支給された5円の補助がそのまま抑制効果を示し172円だった。

 ただ、値上がりに歯止めはかからず、上限支給は2月10日に始めて以降、3週据え置かれることになった。既に自民党は、萩生田経産相と松野博一官房長官に対し、現状5円の支援幅の大幅拡充などを含んだ追加の対策を緊急提言で申し入れている。ガソリン税の上乗せ分(1リットル当たり25.1円)を念頭に、その額を超える支援ができる制度の見直しと延長を求めた。

 そうした動きを受け、政府では支給上限の見直しなどが議論の俎上(そじょう)に上がっているとみられる。緊迫度が増す中、政府は対策を「大幅に拡充、強化する」方針を示した。

 萩生田経産相は25日の閣議後会見で、経産省内の対策本部を開いたことを報告。エネルギーの安定供給確保について、「さらなるエネルギー価格の高騰リスクへの対応を含め、主要な消費国や産油、産ガス国、国際エネルギー機関をはじめとする関係国際機関を含む国際社会と連携した上で、増産の働き掛けを含め、機動的に対応する」と述べた。

 エネルギー価格全体の上昇は国内経済を直撃する。原油価格についても「より一層、上昇傾向にあり、企業活動や暮らしへの影響が懸念される」と言及。「今後の動向は、緊張感をもって注視していく。どの程度、長期化するかも見極めながら、国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から、追加的な措置を速やかに講じていく」と述べた。

資金繰り支援

 政府は、原油やLNG(液化天然ガス)の備蓄や在庫を電力会社やガス会社に確認し、現状では安定供給に支障がないことを確認したという。ただ、影響をまともに受ける中小企業向けに、政府系金融機関などに特別相談窓口を設置し、資金繰り支援などに取り組むことを明らかにした。

 エネ庁幹部は「ウクライナ情勢が悪化し、原油価格の高騰が全く見通せなくなった。追加策をオール政府で検討し、タイミングをみて公表していくことになる」と話す。