2026.02.10 シャープの25年4~12月期、厳しい市場環境で減収も営業利益が倍増

構造改革の成果を土台に「26年度以降再成長への歩みを始める」と話す沖津社長構造改革の成果を土台に「26年度以降再成長への歩みを始める」と話す沖津社長

 シャープが10日発表した2026年3月期第3四半期(25年4~12月)の連結決算は、需要低迷や競争環境の激化などの影響で、売上高が前年同期比14.5%減の1兆4176億円と減収になったものの、営業利益は前年同期から倍増の409億円を確保した。

 オンライン会見に臨んだ沖津雅浩代表取締役 社長執行役員 CEOは「経常利益、最終利益も大きく改善した。売上高・営業利益は想定通りの進捗となった」と手応えを強調した。

 26年3月期の売上高と営業利益は、計画通り推移する見通し。最終利益の予想には、亀山第2工場の生産終了に伴う事業構造改革費用などを追加で織り込んだものの、「営業外損益が改善する見通しであることから、前回公表の最終利益(530億円)は達成できる見込み」(沖津社長)という。

 25年4~12月期の主力のブランド事業は、天候要因も含めた需要低迷や中国勢などとの競争激化が響いて減収となったものの、「コストダウン」「モデルミックス」といった施策が奏功し、営業利益は2桁増益を達成した。

 このうち白物家電、テレビ、エネルギーソリューション事業を担うスマートライフは、アジアで冷夏の影響を受けたエアコンが苦戦。国内のテレビ事業は、攻勢を強める競合他社との競争の影響で、売上高が前年同期を下回った。

 一方で、「米国における調理家電事業や国内での理美容商品、タイ・ベトナムなどのアジア市場での空気清浄機や除湿機など、好調な商品もあった」(沖津社長)とし、コストダウンや経費削減に加え、高付加価値化の進展で営業利益は5%以上を確保した。

 家電事業については、「アジアにおけるエアコン市況は、26年度に回復する見通し」と期待感を示した。その上で「B2Cだけでなく、B2Bへのシフトを強化し、来期は新製品も積極的に投入していく」(沖津社長)とも述べ、成長戦略を加速することに意欲を示した。

 スマートワークプレイスでは、「メモリーが高騰し、パソコン(PC)の値上がりを見据えて、昨年末に駆け込み需要が活発だった」(沖津社長)とし、PC事業が伸びた。引き続き1~3月も駆け込み需要が持続するとの見通しも示した。複合機(MFP)も新製品を投入する効果で日米欧ともに増収となった。通信事業は、他社の攻勢が活発となった動きが響いて減収となった。

 営業利益も、メモリーなどの部材価格の高騰などもあり、部門全体では減益となった。

構造改革を加速、追加費用も発生

 液晶パネル事業の構造改革に取り組む中で、当初計画から一部見直しも図っている。当初は亀山第2工場を親会社である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業へ売却する予定だったが、鴻海への譲渡が不成立になった。

 「(両者との協議で)パネルの価格推移を含め将来需要が主な焦点となって、(鴻海側に譲渡する)メリットがない」(沖津社長)と判断したという。亀山第2工場は26年8月をめどに、生産停止する予定。そのための追加構造改革費用として今期100億円を引き当てた。同工場の従業員1170人は希望退職とする。

 これに関して、子会社のシャープ米子(鳥取県米子市)も26年7月の事業閉鎖を決めた。従業員160人には希望退職を募る。同社の閉鎖に伴う構造改革費用は7億円を引き当てている。

 このほか、堺ディスプレイプロダクト(SDP)の大型液晶技術のインド大手企業への技術移転も不成立となり、事業終息を決め、今期に構造改革費用22億円を計上する。

 液晶パネル事業については「中小型に集中し、中でも付加価値の高いカスタム品に特化し、次世代技術にも投資しながら、中小型でナンバーワン目指していく」(沖津社長)方針だ。

 同社は3月16日から、本社を現在の堺市から大阪市(本町)に移転させる。沖津社長は「業績は順調に回復している。財務基盤も強化された。いよいよ26年度から構造改革に区切りをつけ、新しい拠点を機に、再成長へと歩みを進めていく」考えだ。

 中期経営計画の最終年度となる28年3月期における営業利益800億円の必達を目指していく。