2022.03.28 京大とパナソニックマイクロ波電力伝送システムを開発
パナソニックが開発したマイクロ波電力伝送システム(上が送信機、下が受電機)
パナソニックは、マイクロ波電力伝送システムの試験用サンプルの提供を開始する。同社と京都大学生存圏研究所の篠原真毅教授は、京都大学COI(Center of Innovation)において共同で研究開発を進めてきたが、このほどプロトタイプシステムの開発を完了、様々な用途・シーンでの試験的活用を進めていく。
開発したシステムは、920メガヘルツ帯のマイクロ波(電波)を活用し、長距離(~10メートル)でのワイヤレス電力伝送を行うことが可能で、電池交換や電源ケーブルが不要でいつでもどこでも電源供給をできる技術。
この920メガヘルツ帯のマイクロ波電力伝送技術は、2022年に電波法施行規則等に関する省令が改正される見込みで、免許を取得することで屋内の一般環境下で利用できる。
現段階では送電できる電力が1ワット以下と小さいため、受電機器はセンサーをはじめとする小電力で動作する機器に限定されるが、離れた場所に設置された送電機から常に電力を供給できるため、電池切れの心配や電源コードの煩わしさの無い空間を実現できる。
IoTの普及でセンサーなどの受信機器が増加することで、定期的な電池交換、充電作業、電源ケーブルによる配信施工など、負担もかかるようになる。このため電源を無線化する技術へのニーズが高まっている。
また少子高齢化により、見守り・健康管理用のバイタルセンサの需要も増えるが、これは長時間にわたり人の情報をセンシングするため、電池交換や充電作業も困難だ。新技術はこうした困難を解決する技術として注目される。(詳細は、3月29日に電波デジタルに掲載します)