2022.05.17 【世界情報社会・電気通信日のつどい特集】ITU主要会議、順次開催PP-22のTSB局長選挙 NTT・尾上氏が立候補

WTSAの様子

NTTの尾上氏NTTの尾上氏

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 今年国際電気通信連合(ITU)にとって大きな意義のある会議が三つある。すでに開催された会議もあるが、来月から秋にかけて開かれる。

 世界電気通信標準化総会(WTSA-20)は3月1日から9日までジュネーブで開催され、世界146カ国から約1680人が参加。日本からは総務省、通信事業者、情報通信研究機構(NICT)、情報通信技術委員会(TTC)、メーカーから58人が出席した。

 4年に1度開催のWTSAはITU-T(電気通信標準化部門)に属し、ITU-Tにおける標準化活動の方向性を決める意思決定機関。

 当初2020年11月にインドのハイデラバードで開催予定だったが、コロナで2度延期。最終的に今年3月ジュネーブでの開催になったという経緯がある。

 WTSA-20は次の研究会期(22~24年)のITU-Tの体制を決定する総会でもあった。日本からはKDDIの宮地悟史氏が「SG(研究委員会)9」、NICTの谷川和法氏が「SG13」の議長にそれぞれ選ばれた。このほか日本からは、7人がSGごとの副議長に任命された。

 決議としては、ITU-TのSGの組織改革に関する検討とアフリカのための共通の緊急電話番号の2件が新規に採択された。

 6月6日から16日までルワンダの首都キガリで開催されるのが、アフリカでは初開催となるITU-D(世界電気通信開発部門)の最高意思決定会議であるWTDC(世界電気通信開発会議)。日本からの参加は当然だが、世界から約1300人の電気通信関係者が集まる。

 今年は「未接続地域を結び、持続可能な開発の達成」をテーマに、インフラの構築や通信環境の整備、セキュリティーなどについて話し合う。

 WTDCとしては初のラウンドテーブル「パートナー2コネクト」(P2C)を設けて、未接続地域に焦点を当てコネクティビティー(接続性)とデジタルトランスフォーメーション(DX)をどう実践していくかの討論の場にしたいというのがITUの考えだ。

 今年のITUの会議で日本が特に注目するのが9月26日から10月14日までルーマニアの首都ブカレストで開かれる全権委員会議(PP-22)。ITUの最高意思決定機関でもあり、4年ごとに開催される。PP-22では、ITU-Tに属する電気通信標準化局(TSB)の次期局長選挙が行われる。

 話題は、TSBの局長にNTTの尾上誠蔵CSSO(最高標準化戦略責任者)が立候補していること。尾上氏は、NTTドコモに在籍中に5Gの前の世代となるLTE方式の普及に尽力したことでも知られる。移動通信の分野でこれほどの実績と知名度のある人はいない、と関係者は尾上氏に注視している。

 ITUの日本人最高ポストには1999年から8年間事務総局長を務めた内海善雄氏の例があるが、尾上氏が当選すれば内海氏以来の高級ポストになる。