2022.11.16 【高専制度創設60周年特集】先輩から後輩へ 山下システムズ 実践的知識得られる
和知氏(左)と鳥山氏
山下システムズは、産業用CPUボードの専業メーカー。企画・開発から製造、検査まで一貫して手掛けるのが同社の特長だ。自社で販売後のサポートも担い、動作不良の原因究明など迅速な対応で信頼感を培う。工作機械から回転ずしのオーダー端末まで、幅広く同社のCPUボードが使われている。
総務課の和知忠久課長は都立航空工業高等専門学校(現都立産業技術高等専門学校)を1979年に卒業後、親会社の山下電気に入社。製造部でモノづくりや生産管理業務に従事した後、2000年に山下システムズに転籍した。現在は採用や輸出手続き、建物管理など総務業務全般のほか、ISO認証の事務方も務める。
02年に同校を卒業した品質保証課の鳥山明啓課長代理は品質管理が主な業務だ。検査でNGとなったり、出荷後に不具合が生じた製品を調査し、顧客に原因を報告する。やはり入社後は製造部に所属し、モノづくりの経験を積んだ。
和知氏は高専で「実習や実験を多く体験できた」と振り返る。もともと機械系のモノづくりに憧れて入学したのが航空原動機工学科。入社当初は電算機の組み立てに携わり、設計図の読み方やねじの知識まで授業で教わった知見が生きたという。
鳥山氏はゲームや電子工作に関心が強く、電子工学科に進んだ。この学科は電気や部品の基礎知識、電磁気学を学ぶ。1年時から毎週のように実験の授業でリポートの提出を求められた経験が顧客に報告書を作成する際の助けになっていると実感する。「実験の目的や原理、結果など論理的に考える習慣が身に付いた」と話す。
社会を支える半導体の重要さが注目され、エレクトロニクス業界への関心も高まる。
2人は「電気電子の知識はますます必要」と口をそろえる。和知氏はエレクトロニクスが「インフラを下支えしている」との誇りが仕事のやりがいにつながっている。「産業用ボードは手厚いサポートで信頼を得ることで、顧客と長く付き合える」。品質管理業務を通じて顧客と接する鳥山氏も「(製品の不具合など)迅速に対応してもらった」といった声が励みになっている。
和知氏は「実践的な知識を得られるのは高専の強み」と後輩にエール。「5年間、伸び伸びと学び専門性を習得してほしい」。
鳥山氏は「得意な分野の勉強法、苦手なことの克服の仕方など、高専で得たものはどんな領域に進んでも役立つ」と背中を押す。