2023.01.11 【電子部品総合特集】オータックス 富田周敬社長 各事業の売上規模100億円へ拡大

富田 社長

 2022年10月にタイ工場の第2期増設に着工した。増設棟の建屋面積は2階建て約7000平方メートル。完成後は既存工場と合わせ、タイ工場の建屋はトータルで約1万平方メートルに拡張される。23年8月頃の稼働を予定する。

 タイ工場はプレスや成形工程を整備し一貫生産が可能。新建屋建設により、端子台や操作用スイッチの生産能力を高めるとともに、製造受託サービスも強化する。DIPスイッチの移管も検討する。当社のメイン工場は中国・深圳工場(深圳市)だが、カントリーリスクなどを踏まえ、タイ工場をサブメイン工場として拡大していく。

 22年の業界は半導体不足や材料調達難が続いたが、当社の受注は例年に比べて大幅に増え、ようやく落ち着いてきた。22年度(23年3月期)の売り上げは前期比3割増ぐらいのペースで推移しており特に電子部品事業は4割ぐらい増えている。利益面でも通期で黒字を確保できる見通し。

 一方、直近では欧米系顧客などからの納期調整がみられている。23年度上期までは今の状況が続くとみている。23年度下期に中国市場がどこまで回復するかに着目している。

 深圳工場では現在、自動化比率が6割から7割に達する。今後も生産効率向上のための投資を継続。また、深圳では新たにビッグデータを活用してペーパーレスで生産工程を組める生産管理システムを自社開発した。23年にかけ、このシステムをグローバル全拠点に展開し、自動化生産の見える化を進め、短納期体制強化につなげる。

 新製品開発では、ここ数年、既存スイッチのリニューアル品開発に力を入れている。今後、さらにコスト低減への改善と新規の開発を進める。端子台はカスタム品が大半だったが、今後は独自製品の開発を進める。ユーザビリティーを考慮した製品を開発したい。

 今後は国内での生産も検討していく。最近は円安で海外からの仕入れにも影響が出ており、地政学リスクも考慮する必要がある。国内回帰により顧客に安心していただけるようにしたい。

 現中期計画は23年度が最終年度となり、24年度から新中期計画をスタートする。中長期には5年後ぐらいを目標に電子部品、DMMS、アルミ加工の各事業の売り上げ規模を100億円ぐらいまで拡大し、合計で年商300億円ぐらいの規模を目指したい。