2023.01.10 【製造技術総合特集】東レエンジニアリング パワー半導体、電池向けが堅調 新ビジネスブランド「TRENG」始動
岩出 社長
東レエンジニアリングは、半導体・エレクトロニクスから環境・エネルギー、ライフイノベーションまで成長分野の事業拡大に注力している。
パワー半導体向けの光学式ウエハー検査装置が特に堅調だ。半導体市場はロジックや、メモリー需要が調整局面に入ったのに対し、岩出卓社長は「パワー半導体の検査需要には陰りがない」と話す。
生産拠点の増強など欧州パワー系企業の投資が増大する中、今年4月に独ミュンヘンに子会社を設立してサービス体制を強化。欧州には既に東レ拠点にデモ機を設置するなどして、商談も進展する。2023年度には本格受注を得たい考えだ。
リチウムイオン電池(LIB)電極用の塗工装置も同社の業績拡大に寄与する主力製品。25年納入の案件も生じるなど受注実績を積み上げている。検査装置と同様に欧州市場が急拡大しており、ミュンヘン子会社で装置のオペレーターを教育するサービスを提供して、顧客をサポートする。
ロジックなど先端半導体向けには、電子線式検査装置やボンダーを展開。CPUやデータセンターの計画見直しなどで設備投資の先送りが見られるものの、装置の需要自体は底堅く続いている。
新技術の投入も相次ぐ。昨年12月には、半導体チップに特化した業界初の外観検査装置を発表。車載向けに搭載数が増えているパワー半導体チップの検査用に普及を期待する。
高水準で推移する受注量に応え、生産力の底上げにも着手。昨年末に製造子会社「TRENG Fプロダクツ」に口金加工事業を移管した。LIB用製造装置の増産に向けた対応だ。
DXを活用したサプライヤーも含む部品管理システムで、加工や進捗(しんちょく)の状況把握を可能にし、供給網全体で生産性の向上を図る。
22年度売上高は過去最高が視野に。30年度に売上高1700億円を目指しつつ、生産性の改革で利益率も上げる取り組みを進める。
12月に新ビジネスブランド「TRENG(トレンジ)」をスタートした。
23年は、東レグループ内の「ものづくりとエンジニアリング」企業として存在感をさらに発揮していく。