2023.01.12 【計測器総合特集】東レエンジニアリングDソリューションズ 中野 亮社長
中野 社長
半導体装置向け計測器が好調
東レエンジニアリングDソリューションズは、2020年に東レエンジニアリングのソフトウエア事業と計測機器事業が統合して発足した。
事業の半分は計測機器の製造とメンテナンス。残り半分を樹脂製品や金型設計用の成形シミュレーションソフト、スマート工場などの生産管理システムや大規模多店舗管理システム開発が占める。
市場分野は半導体をはじめケミカル、自動車、食品、医薬医療・健康など非常に多岐にわたるのが特徴。統合後の業績は好調で増収増益を続けている。
22年は半導体製造装置向け計測機器が大きく伸長した。ウエハーの熱処理をする際に装置内の酸素濃度を測定する酸素計や、パワーデバイスの内部のボイド(空隙)や微小な欠陥を非破壊で検知する超音波センサーが主力製品だ。
特に酸素計は、半導体市場の活況に伴い、21年後半から22年前半にかけて受注がコロナ流行前の4倍近くに成長した。
昨年後半から半導体製造向けの受注が減速したが、生産管理DXシステムや自動車向けシミュレーションソフトなどが堅調。部材不足の影響もあったが、先行発注や計画生産のほか、グループのグローバルな調達力を生かして乗り切った。
23年3月期の売上高は、22年11月まで前年同期比約15%増で推移している。
23年の計測事業は新規見込み客の開拓に注力する。半導体市場が23年後半に復調すると見て、翌年にかけて22年度上期以上の需要を期待する。
中野亮社長は「まだまだ開拓できる余地がある。主要な顧客の中に深く入り、関係を強化する活動を重点的にやる」と話す。
次世代技術の提案推進も図り、高真空下のプロセスでの酸素計の活用も伸ばしていく意向だ。
水質計は排水規制が強化されつつあるアジアを中心に海外展開も拡大させる。
23年度から始まる新中計では、25年度に売上高100億円を目標としている。利益率の底上げとともに成長戦略を加速する。
今後は、半導体検査装置など東レエンジニアリンググループ各社製品と合わせたトータルの「半導体ソリューション」として訴求していきたい考えだ。