2023.03.28 【電子部品メーカー・商社 中国拠点特集】 エレクトロニクス商社 中国営業戦略 菱電商事

赤司 董事長

現地エリア戦略強化、コラボレーションも推進

 菱電商事は、設立22年を迎えた菱商電子(上海)を核にFA、デバイスを主力とした中国ビジネスを展開している。

 赤司圭一董事長・総経理は「1月のゼロコロナ政策の転換以降、人々の生活もコロナ以前に戻り、ビジネスも活発になっている。設備投資は昨年夏ごろから新エネ、再エネなどエネルギー関連インフラ投資が徐々に回復。米中の半導体摩擦による影響が懸念される中、中国半導体企業の投資は若干の弱含みはあるものの継続。3C市場はまだ厳しいが、そのほかの有望市場を含めて早期回復に期待している」と語る。

 菱商電子(上海)は上海をヘッドオフィスに大連、成都、深圳、広州各分公司に加え、2021年7月に合肥、22年9月にアモイにも拠点を開設した。赤司董事長は「中国市場に合わせたエリア戦略を強化している。現在、中国内7拠点を設けているが、顧客に密着して活動することで喜ばれており実績も出てきている。今後は内陸部、特に重慶の市場にも注目しており、体制強化を検討している」という。

 デバイス事業は三菱電機製のパワー半導体のほか、機構部品などの電子部品が中心。赤司董事長は「中国製半導体は汎用(はんよう)品が中心で価格競争が激しく、当社ではまだ本格的に販売していないが、競争力のある製品に絞った開拓は進めている」と述べる。

 FAではエンジニアリングを強化し、製造業顧客のさまざまな課題に対応したソリューション提供のため、現地企業とのコラボレーションも進めている。上海にFA分野の技術者を常駐しているが、新たに華南地区のFA強化を目的に深圳にも技術者を常駐した。

 赤司董事長は「中国製造業の内需は依然大きい。政府主導でカーボンニュートラルに対する新たな市場が創出され、例えば省エネデータの活用手法の提案など、当社にとっても新たなビジネスチャンスが広がっている。環境、省エネを基軸に新規ビジネスモデルの創出を継続して推進する。また製造業の内需だけではなく、輸出にも注視していきたい」と取り組んでいる。