2023.07.11 【家電総合特集】三菱電機 尋木保行上席執行役員リビング・デジタルメディア事業本部長

空調冷熱事業、海外中心に拡大

消費者とつながる製品も重視

 昨年4~6月は部材調達の問題や上海ロックダウンの影響があって事業環境が悪かった分、今年は国内外で売り上げは伸びている。ただ、期待していたレベルではない。新型コロナの5類移行で個人消費は回復しており、旅行やサービス、高級品などは売れているが、家電といった当社の扱う製品群が対象になっていないからだろう。

 夏商戦の主力であるルームエアコンもまだ需要のピークは来ていない。5~6月はフル稼働で生産してきたが、7月以降は天候も見ながら判断していくことになる。

 成長をけん引する空調冷熱事業は、海外を中心に伸ばしていく。欧州では、ボイラーからATW(ヒートポンプ暖房給湯機)への転換が加速している。当初の見立てよりも成長スピードが速く、2025年度までの中期経営計画も目標を上方修正した。

 米国でも、空調の主力である全館空調から省エネ性に優れた個別空調への転換が進みつつある。

 依然として全館空調が中心ではあるが、脱炭素という観点からも個別空調はまだ伸びが期待できる。

 足元で既に大きな市場に成長しているわけではないが、将来的には必ず拡大するのがインド市場だ。将来に向けた種まきとして、今から設備投資を積極的に行っているところだ。

 家電や住設機器といった空調以外の事業については、国内を中心に展開していく。冷蔵庫、換気扇、エコキュート、照明が軸にはなるが、これらは空調冷熱とも関連してくる製品だ。

 国によって文化の違いも強く出る製品であるため、基本は国内に集中し、しっかりと価値を出しながら収益性や効率性を高めていく方針だ。

 成長ドライバーは海外を軸とした空調冷熱事業だが、家電や住設機器も当社にとっては大事で、消費者と直接つながることができる製品。

 あるタイミングで役割が終わり、手を引く製品も過去にはあったが、今の顧客が何を求めているかをしっかり見極め、判断していかなければならないと思っている。

 カーボンニュートラル(CN)、サーキュラーエコノミー、安心・安全、インクルージョン、ウェルビーイングを全社的に目指す中、リビング・デジタルメディア事業本部はウェルビーイングに特に関わってくる。CNでも社会貢献度は高い。

 ともにビジネスをやっていく人たちと、社会課題を解決するという視点で取り組んでいくことが価値につながると思っている。流通を含めて顧客にわれわれの姿勢をアピールしていきたい。