2023.07.21 【家電流通総合特集】電気製品認証協議会 上がる「Sマーク」普及率 流通側の意識高まる、ECでも存在感発揮
電気製品認証協議会(SCEA)がメーカーへの普及促進や消費者への認知度拡大を目指す、家電製品の安全性を担保する「Sマーク」を、家電流通サイドで重視する傾向が強まりつつある。Sマーク付き電気製品の店頭普及率は近年低下傾向にあったが昨年度の調査では一転上昇基調に入った。EC(電子商取引)でもSマークが存在感を発揮してきている。
Sマークは、テレビや洗濯機、冷蔵庫などの家電製品の安全性を担保する第三者機関による認証だ。SCEAが2022年度に行ったWebアンケートによる消費者の認知度調査では、回答数約6500件のうち31.0%が「知っている」と回答。まだまだ高い数値とは言えないが、前回調査から約3ポイントアップした。
全体の傾向としては年齢層が高いほど認知度も高く、女性よりも男性の方が高い傾向が出ている。一方、Webアンケートでは、電気製品の購買時にSマークが付いているかどうかを「確認する」との回答は20.0%にとどまっており、認知度の数値とは隔たりがある。「認知していることが購買行動につながっているかは別」(平井雄二事務局長)との認識を示す。
認知度に加えて、Sマークの取得率も伸びている。「輸入事業者が製品納入の交渉時に『Sマークを取っているか』と流通側から質問されるケースが増えている」とした上で、「流通側の意向が反映されるようになっているのではないか」とも分析する。
実際、22年の店頭普及率は、家電量販店や地域電器店などのリアル店舗全体で72.2%と前年から6ポイント上昇。ECサイトのアマゾン、ヤフー、楽天の3社を合わせた普及率は61.1%となり、いずれも前年より増えている。
日本メーカーは77.7%と前年から7ポイント、海外メーカーは57.2%と同じく3ポイントそれぞれSマーク取得率はアップしている。海外メーカーは日本メーカーほどの上昇率ではないものの、機種を限定してSマークを取得するなど、海外メーカーも国内流通事業者の意向が徐々にSマーク取得を押し上げる契機になっているようだ。
このように、日本、海外を含めたメーカー側のSマーク取得を重視する動きは、SCEAによる広報活動が実を結んだ結果でもあり、「販売店などがSマークを気にかけるようになってきたことが大きい」(平井事務局長)と手応えを語る。
昨年は一般消費者への認知度を高めるために、ツイッターを活用したPRやラジオ番組への協賛など、若年層や主婦層への浸透も狙った取り組みを加速。現在、ツイッターのフォロワー数は7000件を超えている。今後は、全国小学校家庭科教育研究会へのアプローチを進め、小学校家庭科授業で採用される教本の制作を計画している。
SCEAは一般消費者へのPRも重視しており、事故が起こりにくいSマークが付いた製品を選んでもらえるよう、今後もアピールしていく考えを示している。