2023.07.27 マイナカード巡るコンビニ誤交付問題 「マネジメントが機能しなかった」富士通幹部が陳謝

 富士通の磯部武司取締役執行役員SEVP/CFO(最高財務責任者)は27日、マイナンバーカードを使ったコンビニ証明書発行サービスの誤交付問題について「グループ全体としてのマネジメントシステムが十分機能していなかった」との認識を示した。同日開かれた決算説明会で報道陣の質問に答えた。

 富士通子会社の富士通Japanが提供する各種証明書のコンビニ交付システムをめぐっては3月以降、横浜市や東京都足立区で他人の住民票などを誤って交付するトラブルが相次いでいる。6月17日には点検作業を完了したとしていたが、同月28日には福岡県宗像市で再び住民票の誤交付が発生し、同市など44自治体で7月中旬からシステム改修を実施している。

 27日の決算説明会で磯部氏は「一連のトラブルによって、当社の置かれてる状況は非常に厳しいものであり、大変重い状況にあると受け止めている。自治体や住民に多大な迷惑と不便をおかけするとともに、行政サービスの信頼を損ねたことについて心よりお詫び申し上げる」と陳謝。その上で、誤交付の原因について「修正プログラムを適用したという勘違いや単純なミスもあれば、現場での過信や間違った認識もあった。組織横断的な品質の担保に関して、品質管理のマネジメントのシステムに不十分なところがあったのが本質的な原因だと考えている」と説明した。

 原因分析と再発防止策に向け、同社は最高品質責任者を設置してシステム品質確保に向けた体制を再構築し、修正プログラムの適用漏れを防ぐ仕組みを整える方針だ。

 富士通ジャパンのシステムは全国123自治体が利用しており、システム改修を実施する44の自治体とそれ以外の点検も含め、個別に相談しながら作業を進めるという。

 一連のトラブルが富士通の収益に及ぼす影響や、役員を含めた社内処分は未定という。

 (31日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)