2023.08.30 【エンターテインメント総合特集】レコード会社トップが語る わが社の戦略 徳間ジャパンコミュニケーションズ・北島浩明社長

北島浩明社長

ジャンル超え新人開発

アーティスト、スタッフ一丸で大ヒット曲を出す

 今年度上期は前年同期比でデジタルは105%、パッケージは132%だった。パッケージに関しては、スタジオジブリの製品が海外輸出含めけん引した。もう少し伸ばしたかったが、コロナ前に近い売り上げになった。

 イベントやコンサートも9割ほど戻ってきたが、演歌歌謡曲はまだ戻り切っていない印象がある。

 業界を盛り上げたい思いから、8月23日には「徳間ジャパン歌謡フェスティバル〝徳フェス〟vol・1~真夏の女声競演~」を開催した。所属する女性アーティストの若手からベテランまでが一堂に会するステージで、ファンはもちろん、アーティストにとっても良い刺激になった。

 演歌歌謡曲は大切なジャンルだが、POPS、サントラ、クラシックとジャンルにこだわらず取り組みたい。2年前に社長に就任した際、何事にもチャレンジしようと決めた。

 新人開発プロジェクトでは、ジャンルを超えた選抜チームを作り、オンラインオフライン問わず人材を探している。人として、何か一つでも光るものがあるアーティストとともに頑張りたい。また、われわれもアーティストに選ばれる会社でありたいと思っている。

 POPSもさらに伸ばしたい。アイドルグループ「FES☆TIVE」や「chuLa」など、活動の幅を広げるアーティストもいる。JPOPだけに限定せず、KPOP含め、拡充したい。

 一方で、デジタルがウイークポイントになっている。日本では、パッケージ7割、デジタル3割だが、これから伸びるデジタルに乗っていきたい。そのためにも、360度ビジネスが重要になる。

 楽曲の権利獲得含め、収益の柱を増やしたい。YouTubeをはじめサブスクなど、スマートフォンで手軽に音楽を楽しむ人が増えている。CDは付加価値になりつつあるが、CDを取り込んだ方が、音が良い。残さなければいけないもの、パッケージにしかない魅力は残しつつ、ファンが求めるものを提供する。

 第一興商ともグループシナジーを生かして、プロモーションに取り組みたい。過去には所属アイドルグループがプロモーションを行ってきた。アーティストの露出が増えると活動のモチベーションが上がる。アーティストが高い目標に向かって歩む、そのフォローを全力で行う。

 誰もが知る大ヒット曲を、アーティスト、スタッフ一丸となり生み出したい。一歩一歩進んでいく。ヒットが出た時の喜びは何にも勝る。全社のまとまり、一体感があれば必ずかなう。