2023.09.08 【育成のとびら】〈10〉オンラインコミュニケーションでは「書面で残す」 「聞こえにくかったところを確認」など受け取り手の工夫目立つ

 新型コロナウイルスが引き起こした社会変化の一つに、オンラインコミュニケーションの普及がある。

 日本で新型コロナウイルスが5類感染症に移行した後、リアルのイベントやリアルのコミュニケーションの多くが復活したが、オンラインコミュニケーションは姿を消すことはなかった。

 ビジネスにおいてもプライベートにおいてもリアルとオンラインを使い分けるようになり、実際オンラインコミュニケーションは定着したといえる。

 多くの人が改めてリアルコミュニケーションの良さを実感している半面で、今後もオンラインコミュニケーション特有のマナーやスキルは、社会人にとって必須となるだろう。

 当社ラーニングエージェンシーとラーニングイノベーション総合研究所は今年2~3月にかけて、研修受講者614人を対象にアンケート調査「社会人のコミュニケーションにおける認識や理解のズレ」を実施。オンラインコミュニケーションで「認識や理解のズレ」を防ぐために行っている工夫を、情報を伝える側と受け取る側の双方の立場で尋ねた。

対面と変わらない

 結果は、情報を伝える側としては「対面と特に変わらない」が34.4%で最多となり、「相手が理解しているか分かりにくいため、対面より小まめに確認しながら話を進めている」(34.2%)、「伝えた後に、改めてチャットなどで補足をしている」(32.4%)がほぼ同数だった(図1)。

 一方の情報を受け取る側としては「聞いた内容を議事録などの書面として残し、相手も確認できるようにしている」が最多で47.7%、「会議で聞こえない箇所があった際など、そのままにせず都度確認している」が35.2%で、伝える側でトップだった「対面と特に変わらない」は3位の26.5%だった(図2)。

具体的に対策

 調査から、オンラインコミュニケーションでは受け取る側がより具体的な対策を行っていることが分かった。間が取りにくい、ニュアンスが伝わりにくいなど、リアルとは異なる課題があるオンラインコミュニケーションだが、出張経費や移動時間の削減などのメリットがあることも見逃せない。情報を伝える側、受け取る側、双方の努力で、認識や理解のズレのないコミュニケーションを実現したいところだ。

 研修事業が大きな柱である当社も、オンラインコミュニケーションについて、さまざまな対策を講じた。

 画面上では、研修講師の情熱が伝わりにくいため、表情、身ぶりをオーバー過ぎるくらい強調することを講師全員が心掛けた。受講者側の反応も講師に伝わりにくいが、諦めずに最後まで表情や身ぶりに気を配ることを徹底した結果、リアル研修に劣らぬ高評価をいただくことができている。

 次回は、同じアンケート結果を踏まえ、ミスコミュニケーションを防ぐ復唱テクニックについて紹介する。(つづく)

 〈執筆構成=ラーニングエージェンシー〉

 【次回は9月第4週に掲載予定】