2023.10.03 OKI、「海洋データプラットフォーム」実現へ 国内唯一の水中音響計測施設を33年ぶりリニューアル
「SEATEC NEO」完成でテープカットする加藤上席執行役員、森社長、大塚OKIコムエコーズ社長(左から)
OKIは、創業150周年となる2031年度をターゲットに、海洋センシングデータを利活用した「海洋データプラットフォーム」の実現を目指す。この一環として、国内唯一の水中音響計測施設を33年ぶりにリニューアルし、10月から新固定式計測バージ(はしけ)「SEATEC NEO」として稼働した。
同社は中期経営計画2025で、「OKIのありたい姿」として「安心・便利な社会インフラ」「働きがいと生産性向上」とともに「地球環境の保全」を、社会価値を具現化する貢献分野に掲げている。森孝廣社長は、9月29日に行ったSEATEC NEOの完成式で「中期計画2025では海洋事業を将来事業の大きな柱と位置付けている。海洋センシングでデータを集め、海洋の見える化による環境保全、利活用など海洋DXを進めていく」と将来構想を語った。
また、加藤洋一上席執行役員兼特機システム事業部長は「海洋分野におけるデータプラットフォーマーを目指すとともに、研究開発事業へ参画し、海洋におけるOKIブランドの周知に取り組む」と、海洋データプラットフォーム構想を明らかにした。
こうした海洋ビジネス戦略の一環としてSEATEC NEOを稼働させた。90年、静岡県沼津市の内浦湾に水中音響計測用の固定式計測用バージ「SEATEC Ⅱ」を設置し運用を開始した。固定式計測用バージは、湾内に固定したバージ内の開口部から評価機材を海に下ろして評価する。実際の機器使用環境に近い海中で、センサー、ソーナー、AUV(自律型潜水調査機器)など、さまざまな海中用機器の水中音響計測試験を行える。
今回約4億円を投資し、33年ぶりに施設をリニューアルした。SEATEC NEOは、試験・評価対象機器の大型化への対応(天井、扉、開口部の大型化対応)として、従来の計測バージと専有面積は変えないまま、大型の対象物の計測を可能にした。同時に、使用可能電力容量を従来の75kVAから110kVAにアップ。これまで以上に多彩な用途の機器を同時に使え、安定した室内環境で水中音響計測を実施できる。
新たに屋上にソーラーパネルを設置し、発電した電力を施設内で蓄電して、監視カメラによる周囲監視や気象観測装置によるデータ取得を昼夜を問わず実現した。「海洋データプラットフォーム構想に向けたテストサイト機能を強化し、新たな事業創出に活用していく」(大塚竜治OKIコムエコーズ社長)構想だ。
センシング技術、水中音響処理技術、海底ケーブル敷設、情報通信技術などを強みに、今後、海洋資源開発や海洋インフラ保全などに必要な海洋データプラットフォームを構築。海洋を中心とする課題解決への貢献を目指す。