2023.10.18 CEATEC 関係閣僚が相次ぎ視察、日本発のイノベーション加速に期待
ロボットハンドの実装に取り組むThinkerのブースを視察する西村経産相(左隅)=18日、千葉市美浜区の幕張メッセ
千葉市美浜区の幕張メッセで開催中のデジタルイノベーションの総合展示会「CEATEC 2023」(主催=電子情報技術産業協会)を関係閣僚が相次ぎ視察した。
デジタル産業分野の実状や課題を把握しようと18日に会場へ訪れたのが、西村康稔経済産業相。ウクライナやUAE(アラブ首長国連邦)をはじめ海外の諸機関が集結するグローバルエリアを巡った後、スタートアップや大学・研究機関が集まるエリアなどを訪れた。
訪問先の1社が、近接した物体との距離や角度を同時に非接触で測れる近接覚センサーを活用して「指先で考えるロボットハンド」の実装に取り組むThinker(シンカー、大阪市中央区)だ。
同社のブースで説明を受けた西村経産相は「ものづくりが劇的に変わりそう」と語り、製造業を革新する可能性の広がりに期待感を示したという。ロボットハンドの主なターゲットは、自動車や家電などの製造現場。同社の藤本弘道CEOは「ロボットハンドは生産性の向上や省人化につながる。ものづくりの分野でイノベーション(技術革新)を起こしたい」と意欲を示した。
政府が推進する「デジタル田園都市国家構想」を担当する河野太郎デジタル相も17日に会場に訪れ、次世代の社会を見据えた先端的な技術やサービスを視察。河野デジタル相は視察後に記者団の取材に応じ、日本から世界市場に打って出る展開に期待感を示した。
河野デジタル相は「大変驚くような技術を開発されているスタートアップを何社も見た。そういうところがそのサービスで世界市場にしっかりと出て行って成功してほしい」とエールを送った。その上で「いろいろな種があるんだなというのは改めて感じたが、それをしっかりとビジネスにしてユニコーンになってほしい」とも強調した。
一方で「それぞれの地域で人口減少や過疎化という課題に直面している中で、解決策があるにも関わらずそれが事業化できていない」と指摘。自動運転やドローン(小型無人機)などの技術革新の波に乗り遅れないよう、先端技術の社会実装を加速させる必要性も説いた。