2023.11.22 東芝、臨時株主総会で上場廃止に向けた議案決議…74年の上場の歴史に幕
東芝の臨時株主総会に向かう株主ら=22日、東京都新宿区
東芝は、22日に東京都内で開いた臨時株主総会で株式併合や定款変更に関する議案を諮り、承認を得た。これを受けて東京証券取引所は、東芝株の上場を廃止することを決定。12月19日まで整理銘柄に指定された後、同月20日付で上場廃止となる見込みで、1949年以来、74年にわたる上場の歴史に幕を下ろす。
東京都新宿区の会場に集まった株主からは、再成長に向けた決意や経営方針を問う質問が浮上。質問に応じた島田太郎社長兼CEOは「東芝の素晴らしいところは世の中にないものを作って、世界を席巻してきた技術だと思う。安定した株主体制を持つことによって、東芝が持つイノベーティブ(革新的)な技術を世界で再び輝かせたい」と力を込めた。
島田氏は「優秀な技術者をどう集めて育てていくのか」といった質問にも回答。技術開発の重要性を説いた上で、「非常に幅広いインフラ事業をデジタルにつなげられるのは東芝しかない」と強調。続けて「長く(株を)持ってくれた株主の信頼に応えられるよう、大きな改革をしていきたい」と述べた。
そのほか、再上場に期待する声が上がったほか、「会社が良くなるのか疑問に思っている」といった厳しい意見も浮上した。総会には株主123人が出席し、9人が質問。1時間弱で終了した。
東芝は、2015年に発覚した不正会計問題以降続いた経営の混乱に終止符を打つため、「物言う株主」に左右されない安定した経営基盤の構築を狙う道を選択。国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)と国内企業による陣営が東芝の株式を対象に実施したTOB(株式公開買い付け)は、議決権ベースで78.65%の応募を集めて成立した。東芝は今後、JIP陣営の傘下で再成長に向けた一歩を踏み出す。
総会での議案可決を受けて、TOBに応じなかった株主からも保有株を買い取る。名古屋証券取引所も東芝株の上場廃止を決めた。