2020.03.26 【エコキュート特集】給湯分野で省エネに大きく貢献

 家庭用の自然冷媒(CO₂)ヒートポンプ給湯機エコキュートは、東日本大震災による電力不足の一時期を除き、現在に至るまで出荷が順調に伸びている。家庭で消費するエネルギーの約3分の1を占める給湯分野における効果的な省エネ貢献の機器として、今後も普及は加速していく。

 エコキュートは、01年に世界で初めて商品化され、給湯分野のエネルギー抑制に大きく貢献する機器として普及が加速、18年6月には累計で600万台出荷を達成した。

 電気だけでお湯を沸かす場合と比べ、大気熱と電気を併用することで約3分の1の電力消費を実現。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及や卒FITユーザーの増加を背景に、高効率の給湯設備として、今後もエコキュートに注目が集まりそうだ。

 国内の出荷台数については、暦年ベースでは16年以降連続して出荷が伸びており、順調だ。新規需要はもとより、買い替え需要も顕在化しているためだ。

 ただ、今年は思わぬところで、前途に影を落とす事態となっている。新型コロナウイルス感染拡大の影響がエコキュートの出荷にも影響を及ぼしている。

 部品調達の問題で、一部のメーカーでは今月に入ってから新規受注を控える動きも出て、先行きが不透明な状況を迎えている。安定的な商品供給に向け万全の態勢で臨んでいるが、しばらく混乱は続きそうだ。

 こうした不安定要因を克服すれば、エコキュート自体の成長性と将来性は明るい。特に国が普及に注力するZEHにおいて、現状導入される給湯機器の6割以上がエコキュートとなっており、高い省エネ性が評価されている。

 省エネ性にとどまらず、エコキュートは万一の場合の災害対策においても有効で、停電時にも出湯が可能なほか、断水時の非常用水としても利用できる(370リットルでポリタンク約18杯分)。