2024.01.19 【育成のとびら】〈18〉「女性活躍」は解決済みか? 管理職・役員の育成が課題

 2024年は能登半島地震、羽田空港での事故など心の痛む幕開けとなった。一日も早い復旧復興を願うばかりだが、半面で企業を取り巻く環境は「DX」「生成AI」「脱炭素」といったさまざまな課題に直面している。この課題に対し、今年は企業自身もいかに変革できるか問われる一年になるのではないだろうか。

 人と組織の在り方に目を向けてみると、正面から取り組むべき課題の一つに「女性活躍」が挙げられる。現在では建築や研究開発の現場を含む、あらゆる職場に女性がいることが当たり前となっているため、「これ以上、何をすべきなのだろうか」と疑問を抱く読者もいるかもしれない。

 しかし、生産労働人口の急激な減少によって、人手不足の問題はより深刻化しており、人口の約半分を占める女性の活躍は、さらに重要性を増している。

 内閣府男女共同参画局の「女性版骨太の方針2023」によると、結婚や出産による女性の労働力率の低下である「M字カーブ」は解消に向かうが、出産を機に女性が非正規雇用化する「L字カーブ」が存在するようにさまざまなライフイベントでキャリア形成との二者択一を迫られるのは多くが女性になっているという。

 「働くのを諦める」女性は減少しつつあるが、「責任ある立場で働くことを諦める」女性はまだ多く、労働市場において女性が特定の階層・領域に偏っている傾向は否めない。

女性管理職推進の課題

 経営の観点からも特に女性管理職・女性役員の推進は喫緊の課題だ。政府は23年、プライム市場上場企業に対し、「2025年を目途に、女性役員を1名以上選任」「2030年までに女性役員の比率を30%以上」という努力目標を課した。

 女性活躍の推進度合いと業績の関係性についても注目されるようになってきた。実際、国内外の投資家が女性役員比率を投資判断基準として重視する傾向が強まっており、取締役会における女性割合が高い企業ほど株価パフォーマンスが高いという国際的なデータもある。女性役員の登用、活躍の推進はいまや重要な経営課題といえるだろう。

 そうは言っても「女性を役員、管理職に任命しようとしても辞退される」といった声も聞かれ、実際には一筋縄ではいかないことも多い。

 当コラムでは今後、当社と東京大学とで行った世界最大規模のリサーチなどを基に、女性管理職が活躍する組織のメリットや女性の昇進意欲が高まる職場づくり、女性管理職任命のポイントなどを取り上げていく予定だ。

さらに成長する1年に

 当社は1日、「株式会社ラーニングエージェンシー」から「ALL DIFFERENT株式会社」へと社名を変更した。「人と組織、そのあらゆる可能性のために唯一無二の解決策を創り、未来を創っていく」というビジョンに向かって、自らを変革していく。

 今年の十干十二支は「きのえ・たつ」。取り組み始めたことが成功する年、成長が実を結ぶ年とも言われている。新時代における組織と人の成長について、読者とともに探っていきたい。(つづく)

 〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉

 【次回は2月第2週に掲載予定】