2024.01.29 SLIMの太陽電池、機能開始 JAXA 月の「夕方」近づき 探査活動も運用も再開
シャープの太陽電池
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、月面に着陸した小型無人探査機「SLIM(スリム)」で、太陽電池の機能が確認でき、運用を再開したことを明らかにした。着陸成功後、姿勢の関係で太陽電池に太陽光が当たらず電力が発生しなくなっていたものの、月の「夕方」が近づき、西側から太陽光が当たるようになったためとみられる。
通信復旧は28日午後11時ごろ。太陽電池が電力供給を始め、SLIMのシステムが再び起動し、月面での活動を再開したことが確認された。搭載機器の分光カメラを再起動し、観測活動を始めている。
SLIMは誤差100メートル以内のピンポイント着陸に成功。ただ着陸直前にエンジン破損があって出力が低下した関係で、太陽電池を上に向けた当初想定の姿勢ではなく、「逆立ち」着陸で太陽電池が西側に向いていた。このためJAXAは月の「夕方」が近づくのを待つ方針を示していた。
シャープエネルギーソリューションの五角博純社長は「想定とは違う着陸姿勢となったが、当社の太陽電池が月面でも機能できたことに安堵(あんど)するとともに、歴史的な成功の一助となれたことを大変光栄に思う。今後も宇宙用太陽電池の研究開発を進め、JAXAをはじめ人工衛星や宇宙探査プロジェクトに貢献していく」とコメントした。
(30日、電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)