2024.03.22 【九州・山口産業特集】明光電子 SIRC社の電力センサーに注力

根本 社長

 明光電子は既存顧客へのアプローチとして新しい技術を活用し、さまざまな切り口で付加価値サービスを提供する。

 上半期は売り上げ予算をクリア、順調な状況が続いている。下半期は顧客の在庫調整の影響が懸念されるが、根本敬継社長は「想定内であり、その先を見据えている」と語り、長期的な視点で戦略を考えている。

 現在の売れ筋製品は「電力の見える化」を実現するSIRC社の電力センサーだ。「既存のインフラに取り付られる使いやすさがニーズにマッチしている」(根本社長)。インフラを一新するには費用がかかるが、現行のインフラを生かしながら活用できるマーケットがしばらくブレイクするのではないかとみる。

 最近は工場やビルのサービス会社、メンテナンス会社といったユーザー層が増えてきた。これまで通信とセンサーを単体製品として販売してきたが、システム全体、トータルソリューションとして提案する必要性が高まってきている。顧客ごとに現場は異なるため、実際に現場に設置して評価してもらうのが採用の決め手になるという。

 現物を無償貸し出しするサービスを行うことで、展示会に来られなかった顧客にも評価してもらえるような環境を提供。特に九州地区の顧客は遠方の展示会まで足を運べないため、展示会のデモ商材を九州に広めるような活動にも今年は力を入れていく。

 九州では台湾TSMCを皮切りに半導体企業などの動きが盛んだが、特に熊本は人件費が高騰しており、地場の中小企業に影響が出ないか懸念される。

 産業分野向けIoTに強みを持つ同社は、省人化・自動化へのIoTのヒントになるような商材を取り扱ってきた。

 昔は作業者の仕事を奪うなという批判があったものの、人手不足の現在は、逆に労働生産性を上げていく手段として、さまざまな業界で新技術を生かした省人化・自動化が進展するとみている。

 アロマビット(東京都中央区)の「ニオイを見える化」するCMOS型のニオイセンサーは量産に入っており、4月に出展する「Japan IT Week」で展示を予定している。量産サンプルでのデモを準備中で、注目される先端技術として期待を寄せている。

 さらに、ニオイセンサーの次となる新技術の検討も開始する。プロモーション活動に向けた準備を進めていく考えだ。

 一方、半導体の生産廃止品が今後、増加することに伴い、代替部品を載せ換えるハードおよびソフトの再設計を行う「基板リメイクビジネス」が増えてきた。仕入先の情報がいち早く入手できる、幅広いネットワークを持つ商社だからこその強みを生かし、顧客視点で付加価値サービスを提供していく。