2024.04.11 ルネサスが甲府工場を再稼働、パワー半導体の生産能力倍増へ

再稼働した甲府工場

稼働開始を祝した開所式の様子(左から3人目がルネサスの柴田社長兼CEO)稼働開始を祝した開所式の様子(左から3人目がルネサスの柴田社長兼CEO)

 ルネサスエレクトロニクスは11日、パワー半導体の生産能力を増強するために、甲府工場(山梨県甲斐市)を稼働したと発表した。電気自動車(EV)向け需要の拡大を見据えたもので、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を中心としたパワー半導体の量産を2025年に開始する予定だ。

 甲府工場は、100%子会社ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング(茨城県ひたちなか市)の傘下として、150ミリメートルおよび200ミリメートルウエハー対応の生産ラインを有していたものの、14年10月に稼働を停止していた。一方、脱炭素化社会の実現に向けてパワー半導体の需要が高まる中、甲府工場の現存する建屋を有効活用し、パワー半導体専用の300ミリメートルウエハーの生産ラインとして稼働させることを22年5月に決定した。

 ルネサスは、22年中に900億円規模を設備投資。25年の量産開始により、パワー半導体の生産能力は現在の2倍に拡大する。

 柴田英利社長兼CEOは「14年に稼働を停止した甲府工場が、10年後の今、300ミリメートルウエハー対応のパワー半導体生産ラインとして生まれ変わり、稼働を開始できたことを非常に嬉しく思っている」とした上で、「甲府工場で生産するパワー半導体により、EVやAI(人工知能)の普及・拡大に従い必須となる大量の電力の効率的な活用に貢献していく」と語った。