2024.04.23 医師の「働き方改革」をサポート 欧州大手医療メーカー2社、日本でAI搭載装置を発売
フィリップスのCT装置「CT 5300」
4月から始まった「医師の働き方改革」に呼応するかのように、欧州を代表する医療機器メーカーのフィリップスとシーメンスの2社が、日本でAI(人工知能)を搭載した医療装置を相次いで発売した。高齢化に伴う心不全の増加や医師の負担軽減など日本の医療事情に合った最新の機器になる。
フィリップス・ジャパン(東京都港区)が4日に発売したのは、AI技術を搭載した全身用X線CT装置のプレミアム版「CT 5300」。心臓に特化した機能や心臓専用のAI技術を搭載したことで、撮影者の技量や患者の拍動の影響を受けにくい心臓CTを実現した。従来のCT装置は、操作する技師の技量に任され、経験年数などで画像確認や検査時間などにばらつきがあった。
またCT 5300は、遠隔操作を可能にするツール「CTコラボレーションライブ」を搭載している。CT検査室外にいる技師や医師とリアルタイムでやりとりできるため、迅速、確実な診断が可能だ。
AI技術の応用により、心臓検査でしばしば発生する画像のブレを自動的に抑え、画質を大幅に向上させた。
シーメンスヘルスケア(東京都品川区)は、AIによる画像診断と検査の効率化を図った汎用(はんよう)超音波画像診断装置「ACUSON Origin(アキュソン・オリジン)」を15日に発売した。
発売した装置には、リアルタイムに心臓構造を認識するAI検査補助機能のほか、短時間で正確な心臓超音波測定を実現するAI機能などを搭載した。シーメンスは、世界最大レベルとなる約20億枚の心臓の検査画像を学習したAIを使用し装置を開発。心不全、構造的心疾患、冠動脈疾患(CAD)、不静脈などに関する5600項目以上の計測をAIが自動化し、診断精度の向上や診断の質の均一化を図った。