2024.05.01 練りやすくなった「渋滞回避策」 アプリやクルマの進化が支援 GW“渋滞損失”を減らせ

アラートシステム対応のボルボ車内

「渋滞ライブカメラ」を拡充「渋滞ライブカメラ」を拡充

通過にかかる時間を表示している「IC間所要時間」通過にかかる時間を表示している「IC間所要時間」

 大型連休であるゴールデンウィークに車で遠出したいが、渋滞には巻き込まれたくない。それは誰もが考えることだ。そんな声に応え、東日本高速道路(NEXCO東日本)がAI(人工知能)を使った渋滞予測をWeb上で公開するなど、高速道路運営各社も渋滞回避に向けた情報発信に力を入れている。

 同時に、リアルタイムの道路交通情報を生かしたアプリも登場し、渋滞多発地点のライブ動画で現状を把握しやすくする動きもある。渋滞回避を目指して車も技術的に進化しつつあり、ゴールデンウィークといった確実に渋滞が発生する時期の「渋滞回避策」が今後、練りやすくなりそうだ。

 ナビタイムジャパンが提供するリアルタイムの道路交通情報に特化したアプリ「渋滞情報マップby NAVITIME」。ゴールデンウィークの渋滞対策として4月25日から新たに提供を始めたのが、渋滞情報を考慮したインターチェンジ(IC)間の通過予想時間を表示する「IC間所要時間」と、渋滞多発地点のライブ動画が見られる「渋滞ライブカメラ」機能の拡充だ。

 これまでもアプリ上で渋滞・混雑の有無は表示していたが、渋滞の度合いまでは表現できていなかった。IC間所要時間で通過にかかる予想所要時間を表示することで、目の前の渋滞を通過すべきか、一般道に回避すべきかといった判断をサポートする。

 2023年10月から提供を始めた渋滞ライブカメラは、主に関東・関西エリアの渋滞多発エリアのライブ動画をアプリから確認できる機能。関東を中心に11カ所のライブカメラを新たに見られるようにした。「静止画に比べて3倍多く利用されている」(同社)ことから、ライブ動画を拡充した形だ。

 車の進化で、渋滞回避につなげる動きも出てきた。スウェーデンのボルボ・カーズが開発した「アクシデント・アヘッドアラート」(前方事故警報)は、そんな技術だ。数百メートル前方で発生した交通事故を後続車のドライバーに伝えるアラートシステムで、デンマークで販売する「90」「60」「40」シリーズの車両にオプションで搭載している。

 ボルボ同士の車両であることが前提にはなるが、デンマーク道路局交通管理センターからのリアルタイムデータを直接警報として後続車に知らせることで、前方で起きている交通事故車への追突防止に加え、交通渋滞の緩和にもつなげられると見る。ダッシュボードやヘッドアップディスプレーに警報が表示される仕組みで、現場の情報などはデンマーク道路局から24時間提供される。

 デンマーク道路局交通管理センターの責任者シュタイン・ベンディセン氏は「ボルボが当局のリアルタイム交通データを使う最初の自動車メーカーになった。前方の事故情報を後続車に出せば、後続車の減速や車間距離を取ることにつながり、追突防止に貢献する」と歓迎している。

 NEXCO東日本によると、一年間に管内で発生する高速道路の渋滞のうち約7割が交通集中によるという。渋滞が発生するのは上り坂と、下り坂から上り坂にさしかかる「サグ部」と呼ばれる凹部状の箇所が約6割を占める。

 サグ部といった渋滞が発生しやすい箇所に付加車線を設置するなど、高速道路運営各社も渋滞対策を順次施している。しかし、運転する側も、提供されるサービスをうまく利用するなど「渋滞回避策」に知恵を絞るのも、ゴールデンウィークを最大限楽しむために、今では必須のプロセスなのかもしれない。