2024.05.15 家電量販店5社決算 脱コロナで苦戦 全社が最終減益 ECやリフォーム軸に今期反転へ
家電量販店5社の2024年3月期連結業績
家電量販店5社の2024年3月期(23年4月~24年3月)連結決算は、新型コロナウイルス後の外出拡大などで家電への支出が減るとともに、暖冬の影響で季節家電が伸び悩み、最終利益は全社減益となった。各社はEC(電子商取引)の強化やリフォーム商材の拡充などを推進し、25年3月期は増収増益を目指す。
エアコンなどが堅調だったエディオンは増収を確保。携帯電話販売代理店のコネクシオをグループ化したことなどが寄与して2桁の増収となったノジマは、主力の家電店運営事業でもエアコンの伸長などに支えられ、前年並みで推移した。
減収減益だったヤマダホールディングス(HD)は、コロナ禍の巣ごもり需要の反動減や国内消費の低迷などで苦戦。ケーズホールディングス(HD)、上新電機はテレビやエアコンなどの減少が業績にも響いた。
家電販売以外を強化するヤマダHDは、住宅などの住建事業は堅調に推移。ヤマダホームズが販促強化の影響もあり減益だったが、ヒノキヤグループに加え、バスやキッチンなどの住設機器を手掛けるハウステックが増収増益だった。ヒノキヤは構造改革の成果もあり過去最高益となった。
上新電機は、規模の拡大から収益力強化にEC事業の施策を転換したことで、ECの売上高が減少。ただ収益性が上がったことで営業利益は増益となった。リフォーム関連事業も拡大基調にあり次の成長事業としての展開を狙う構えだ。
25年3月期は各社とも増収増益を計画。家電は今年も猛暑予想が出ていることから季節商品が伸びるとみる声が多いほか、パリ五輪の開催に合わせたAV機器の販売にも期待がかかる。
ヤマダHDは、主力の家電事業の中でも成長領域と位置付ける「EC・テレビショッピング」「リフォーム・家具インテリア」「法人」で300億円以上の増収を目指す。さらにオリジナル商品(SPA)で50周年記念モデルを120モデル投入して売上高400億円規模を目指す。
住宅関連分野ではヤマダホームズの収益改善を進め、利益を一気に拡大させる考えだ。山田昇会長兼社長CEOは「暮らし丸ごと戦略で取り組んでいるが、方向は間違っていない」と話す。
エディオンはオリジナル商品の開発を強化するとともにニトリとの共同開発も推進。リフォームに加え、エアコンクリーニングといったサービスも拡大していく計画だ。ケーズHDは家電の回復を見込み、高付加価値商品の販売で収益拡大を狙う。
上新電機は既存店舗での販売力を拡大しながらEC販売で収益力を上げていく構え。顧客の囲い込みのためのロイヤルティープログラムも強化。「リフォームも調子が良い」(高橋徹也副社長執行役員営業戦略担当)とし、既存店とリフォームで売り上げを底上げしつつ、EC事業で収益の拡大を狙う。
ノジマはコンサルティング力を生かして付加価値の高い商品販売につなげる計画。キャリアショップ事業は「コネクシオの統合効果がさらに出る」(田島穣取締役兼執行役事業推進部長兼総務部長)見通しだ。
(16日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)