2024.06.21 【育成のとびら】〈28〉2024年新卒社員が成長に必要だと思うもの 「成功体験」「失敗体験」に続く3位は…?

 Z世代の価値観の特徴の一つとして、企業に対する期待や仕事への向き合い方が他の世代と異なることが挙げられている。生まれた時から低成長時代を生きてきたZ世代は、新型コロナウイルス禍で不自由な青春時代を過ごし、社会や経済の先行きの不透明さを、身をもって感じてきた世代ともいえる。

 彼らは企業に対する期待感が低く、「早く自分のキャリアを形成したい」「どのような組織でも通用するスキルを身に付けなければ」という意識が高めだ。もし、かなわない組織ならば早々に見切りをつけ、次の職場を検討することもいとわない傾向がある。

 そんな彼らは、入社した会社でどのように成長したいと考えているのだろうか-。

 当社ALL DIFFERENTとラーニングイノベーション総合研究所が2024年3月28日~4月11日に、24年入社の新入社員4227人を対象に行った「新入社員意識調査」の結果から探ってみたい。

 自分が成長するために必要だと思うものと質問したところ、「仕事を通じた成功体験」という回答が67.8%と最も高かった。次いで、「仕事を通じた失敗体験」が58.9%、「上司や先輩からの事後のフィードバック」が55.0%だった。

 24年新入社員の半数が、自身の成長のためには単に業務経験を積むだけでなく、それに対してのフィードバック(問題点の指摘と行動改善の支援)が重要なポイントだと認識していることがうかがえる。

 フィードバックは、フィードバックする側と受け止める側双方の努力で成り立つコミュニケーションで、フィードバックの内容や頻度によって、個人の成長スピードは大きく左右される。24年新入社員の約半数がフィードバックを求めているということは、成長に対して健全な認識を既に持ちつつあるとも言えるだろう。

振り返りの習慣

 さらに回答者の4割強が「振り返りの習慣」を挙げている。これも実務からの学びを成長につなげる重要な取り組みになるため、歓迎すべき認識だ。

 今のZ世代は早期にキャリア形成したいという意向が強い。加えて現在の労働市場は求職者が優位になっていることを十分に認識している。フィードバックや振り返りの機会が乏しい職場環境の場合、「ここでは成長できない。時間が無駄になる」と即座に判断し、早期離職につながるリスクが高まりやすい。

指導側もスキルアップ

 成長意欲の高い新入社員を定着させ、成長へ導くためには、指導する管理職や先輩社員のフィードバックスキルの質や振り返りの支援が重要になる。新入社員の成長速度を上げたいのならば、新入社員へのアプローチだけでなく、指導する先輩社員や上司のスキルアップも欠かせないだろう。

 新入社員を成長させるためには、新入社員の研修プログラムを再点検するだけでなく、その周囲も含めたさまざまなメンバーの底上げにも目を向けることが求められるのだ。(つづく)

 〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉

 【次回は7月第2週に掲載予定】