2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】カナデン 部門横断の新規案件獲得など推進

本橋 社長

 カナデンはFAシステム、情通・デバイス、ビル設備、インフラの4事業を柱に、国内に加えて中国・東南アジアで日系企業向けを中心に事業を展開する。

 本橋伸幸社長は「FAはサプライチェーンの在庫調整の影響はあるが、設備投資がまだら模様ながら出始めている。EV(電気自動車)関係で案件を獲得したい。半導体市場は下期に回復との見解があり、OAメーカーで在庫調整が終了したという話は出ているが、楽観はしていない」と説明する。ビル設備事業は冷凍倉庫関係の堅調さが続く。今後の業績への貢献として官公庁向け案件に期待を寄せる。

 同社はソリューション営業部を2022年度に新設。23年度から独立組織に改編し、部門横断の新規案件の獲得やクロスセルを推進する。

 取り組みを円滑化するために、成果に応じて部門間顧客や商材を紹介する担当者には査定で評価ポイントを付加する。

 ソリョーション推進体制強化としてM&Aも実施した。技術力強化のために、昨年度は日本制御エンジニアリングを子会社化している。今後はソフトウエア会社への資本・業務提携も視野に入れる。

 また、インサイドセールスの体制を築いた。本橋社長は「以前のように気軽にお客さま訪問がしづらい、対面営業が行いづらい環境がある。ハイブリッドの新しい営業スタイルが必要になる」と説明する。

 4月から開始した補助金活用支援サービスは同セールスの一環。ヘルプデスク、補助金交付の検索システム、製品サイトでの情報公開により、顧客の補助金・助成金活用を支援する。問い合わせは想定以上で、月に100件を超えるペースで推移している。

 海外戦略ではASEAN強化の意向を示す。中国からの東南アジアシフトをフォロー。人口減少社会に移行しつつあるタイでは自動化ニーズを見込む。

 環境ビジネスとして食品残滓(ざんさ)再循環システムを推進する。これは食品残渣などから、プラスチック代替材に活用できるカーボンを生成するもの。実地検証を進め、食品会社や自治体での採用を見込む。