2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】日本製半導体製造装置、5兆円台を視野 AI関連で世界的に需要増
半導体製造装置市場は拡大に移行している。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)の市場予測では、2024年の同装置(新品)の世界の売上高は前年比3.4%増の1090億ドル(約17兆円)。これは過去最高であり、減少に転じた23年から売上高増加に転じた。25年は1280億ドルと予測し、24年の過去最高を更新する勢いだ。
日本半導体製造装置協会(SEAJ)による日本製装置の需要予測でも、日本製装置の販売高(輸出含む)は24年度に増加に転じる。
24年度の販売高は前年度比15.0%増の4兆2522億円とし、初の4兆円超えを見込む。予測額は1月発表の4兆348億円から2000億円強引き上げた。直近の推移では、6月の日本製装置(輸出を含む)の販売額は前年同月比31.8%増の3439億円で、6カ月連続で前年実績を上回り、好調に推移している。
24年度以降の販売高は25年度が同10%増の4兆6774億円、26年度が同10%増の5兆1452億円と予測。4兆円超えから2年で5兆円超えと、販売高の拡大傾向を示す。
SEAJでは、24年度はメモリー価格の上昇に稼働率の上昇が追い付くタイミングで、DRAM投資の本格的な復活を見込む。中国向けは堅調に推移するが、他地域向けの投資拡大に伴い、中国向けの比率は若干下がるとみる。
25年度はNANDフラッシュの投資回復、ロジック・ファウンドリーの投資も堅調に推移すると予想。26年度はAI(人工知能)関連半導体の需要押し上げを見込む。
日本市場での販売高予測は24年度がメモリー市況の回復、政府による補助金効果、大手ファウンドリーの順調な立ち上がりなどを背景に同17%増の1兆3375億円を見込む。25年度は複数の大手ファウンドリー投資が重なり、メモリー投資の復活が期待され、同30%増の1兆7388億円、26年度は同7%増の1兆8605億円と予測している。
懸念されるのは米中貿易摩擦の影響だ。半導体製造装置では、22年10月の米国による対中規制強化、23年7月に日本、同9月にオランダで輸出管理の厳格化が始まった。
直近の動きでは、米バイデン政権の中国向け半導体輸出規制強化の検討を受けて、米半導体工業会(SIA)が17日(現地時間)に追加規制を控えるように求める声明を発表しており、今後も米中対立の影響を注視する必要がある。