2024.08.09 【コネクター特集】コネクターメーカー各社、グローバル生産・開発体制を拡充 サプライチェーン強靱化など全力

今年6月から本格稼働を開始した、ヒロセ電機の郡山新工場(福島県郡山市)

 コネクターメーカー各社は、今年も国内外で生産体制や開発体制拡充投資を活発化させている。各社は中長期でのグローバル需要増大への対応やサプライチェーン強靭化(きょうじんか)、次世代成長領域でのイノベーション強化のための取り組みに全力を挙げる。

 コネクター各社の新工場建設や新工場棟増設の動きは、2010年代半ばから後半にかけて活発化し、ASEANや中国を軸に積極投資が実施された。国内外での試験・評価体制の増強や工場のスマートファクトリー化のための設備投資増強も進んだ。

 20年から21年前半にかけては、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による先行き不透明感などを背景に、不要不急の投資を先送りする動きが一部で見られたが、21年後半以降は再度、設備投資への機運が高まり、21年後半から22年、23年と積極的な生産能力増強が進められた。

 コネクターのグローバル市場は、23年は低調に推移し、足元でも産機向けなどは調整局面が続いているが、コネクター各社は中長期でのコネクター需要の増大やBCP対応強化、地産地消ニーズの強まりへの対応などの観点から、24年から25年にかけても多くの企業が国内外で新工場建設や既存工場増設などを計画している。

国内回帰も

 特に最近は、米中対立の激化を視野に入れたサプライチェーン強靭化や、為替の円安対応、国内の自動車市場や産機市場向けの高付加価値製品の生産能力増強などのため、国内工場への再投資や新規の国内製造拠点建設などの動きも活発となっている。

 次世代自動車やAI(人工知能)関連、次世代半導体関連、脱炭素関連といった成長分野に向けたイノベーション強化のため、研究開発拠点の建設・拡充の動きも進んでいる。より高度なモノづくりを促進する、無人化製造ラインの研究開発や試験ライン導入などにも力が注がれている。

 ヒロセ電機は、モノづくり力強化の一環として、今年3月に生産設備開発拠点の「東北アドバンスト・テクノロジーセンター」(盛岡市)を稼働。4月には、新郡山工場(福島県郡山市)を竣工(しゅんこう)、6月から本格稼働した。今年10月には韓国ヒロセコリアの新R&D棟も完成する予定。

 イリソ電子工業は、国内新工場の秋田工場(秋田県横手市)が24年末に竣工予定で、25年春には量産体制が整う。これにより、BCP対応を兼ねた、マルチ生産体制を確立する。

 日本端子は、今春、神奈川県南足柄市に自動車用コネクターなどを生産する新工場を開設すると発表した。開業時期は25年秋を予定。新工場「日本端子神奈川工場(仮称)」は約41万2000平方メートルの広大な敷地面積を有し、自動車向け製品を中心に、製品の開発から量産まで一貫して行う24時間稼働の量産工場として運営する。