2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 OSK・橋倉浩社長
DXパッケージを進化
全サービスをクラウド化へ
今年前半戦は、電帳法改正とインボイス制度対応の特需があった昨年上期の反動減があったものの、オンプレミス(社内構築)の保守やクラウドビジネスが順調に伸びた。
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「DX統合パッケージ」の機能強化や法改正対応を含め、今年に入って17製品をリリースした。
販売・会計・人事給与の基幹系システム「SMILE(スマイル)V2」と、ドキュメント管理を担う情報系システム「e Value(イーバリュー)V2」を組み合わせたDX統合パッケージには、顧客情報を集約して営業を支援する「セールスマネジメント」機能を3月末に追加した。
11月には、社外からスマートフォンで使いやすくするために、名刺管理システムとの連携や検索機能を強化した第2弾のバージョンアップを予定している。
基幹系と情報系にとどまらず、営業支援も含めて業務全体を支援するプラットフォームにしていきたい。
急速に普及する生成AI(人工知能)を含むAI分野に対応するため、昨年8月に研究開発推進課を立ち上げた。ビジネスを離れ、純粋に技術を探求していくという視点で社員公募を行ったところ100件近い応募があった。生成AIに的確なプロンプト(指示)を与えるためのシステムなど、若手社員の優秀なアイデア2点の事業化も進めている。
受託事業では、アプリケーションを自動生成する開発ツール「GeneXus(ジェネクサス)」を活用したローコードビジネスも堅調に推移している。
外販強化に向けて取り組んできた、町工場など地域の中小製造業者をターゲットにした生産・販売管理支援の取り組みも軌道に乗りつつある。
後半戦では、来年10月がサポート期限のウィンドウズ10から11への移行が本格化しそうだ。入れ替えに伴う周辺ソフトの対応も需要が増えてくる。
さらに、5年サイクルでサービスの刷新や新製品をリリースしてきたタイミングにも重なる。今回は、これまでオンプレミス対応のみだったシステムも含めて、全てのサービスをクラウド前提で設計するクラウドネーティブな仕組みに一新する。
プログラミング言語の変換をはじめ、アプリの運用に必要な環境をパッケージにするコンテナ化などを行い、クラウド上で100%機能できるようにする。さらに、オンプレミスで利用する既存ユーザーにも、引き続き使ってもらえるよう開発を進めている。今回の開発は、今後のシステムの拡張性の鍵を握る重要な投資だ。