2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 NECプラットフォームズ・河村厚男社長

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モビリティー事業強化
スキル培い価値を提供する

 今年前半戦はDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展でIT市場は堅調に伸びた。ただ、高速通信規格5Gの導入は足踏みが続き、テレコム市場は低調が続いている。5Gの利便性などサービスの恩恵が浸透しきっていないことが背景にある。スマートフォンなどの個人向けで利用は広がっているものの、ローカル5Gなど企業向けの活用の促進が鍵を握る。

 一方、国防予算の増額もあり宇宙防衛など社会インフラは伸びている。DXも順調に事業が広がっている。

 DXには、既存システムを見える化して生産性を高める全体最適化と、取得したデータを付加価値に変換して提供するという2種類がある。今は前者の全体最適化が進んでいて、当社もそれに対応したサーバーやルーターといった機器の展開や、SI(システム構築)の支援などを行い、ニーズを捉えることができている。最終的にエンドユーザーに対して価値を提供できるスキルを培ってきていることが当社の一番の強み。

 後者のデータ活用に向けては、生成AI(人工知能)が大きな流れになっている。誰もが使えるようになった一方で、ビジネスチャンスにつなげるには業界を絞った形で特化型の生成AIが求められる。

 例えば工場の生産ラインの最適化に活用して生産性向上につながったら、それを他社の工場も含めて横展開していく仕組み。工場の生産の形が変化する中で、そうした仕組みを取り入れないと日本としての競争力が低下するのではないか。

 ローカル5G環境下で無人搬送車(AGV)を動かすにはアンテナが何本必要か、といった情報など情報交換することで、逆にフィードバックをもらって自分たちの事業改善につなげることもできる。

 製品に関する秘密情報をサプライチェーン全体で保護する「セキュア生産」でもさらに強みを発揮できるようになる。

 この4月から、NEC本体との連携事業と当社独自の自主事業の事業構造の明確化に取り組んでいる。

 連携事業では、社会インフラの全体としてのリソース開発を支えるのが当社の役割。自主事業では、ものづくりの強みを生かし、通信を軸に車載を含めたモビリティーを強化していきたい。

 物流2024年問題など人手不足を抱える企業の課題に対し、必要な機器やスキルを持つパートナーを組み合わせて価値を提供する。一貫して任せてもらえる信頼関係を築けるようにしたい。

 社内では市場の変化に対応できるよう人材流動化を進めている。一職場の専門家ではなく、幅広い知識を持った社員を増やし、新たな領域に挑戦してほしい。