2025.01.10 【放送総合特集】放送機器各社 25年の戦略 ソニーマーケティング 川口大輔代表取締役社長
川口 社長
新たなコンテンツ制作を支援
ハードウエア開発推進
昨年は、ライブ制作ソリューション「Networked Live」、クラウド制作プラットフォーム「Creators’ Cloud」、イメージング商品群、バーチャルプロダクションの四つの柱を中心に展開してきた。
動画コンテンツ制作の需要が大きく増加しており、自社開発のイメージセンサーを搭載したカメラのラインアップを、トップエンドの映画の領域から放送領域、そしてクリエーターの領域まで幅広い層をカバーできるよう拡充してきた。
そうした中、シネマカメラ「VENICE 2」で撮影された「ゴジラ-1.0」が、第96回アカデミー賞視覚効果部門など、さまざまな賞を受賞されたことを非常にうれしく思っている。コンテンツ制作需要を支えるハードウエアの開発を引き続き進める。
映像制作を下支えするソリューションやサービスも幅広く展開している。放送局内のスタジオサブ・回線センターなどのIP化を支援するNetworked Liveは、1月現在で90システムの受注・内示となった。2023年11月から14システム増え、順調に伸びている。
クラウド・AI(人工知能)を活用したさまざまなサービスを展開するCreators’ Cloudについても、確実にユーザーが拡大している。特に、クラウド上で離れた人同士が一緒にコンテンツの管理やプレビューを行える「Ci Media Cloud」は、20年に国内で本格展開を開始したが、数十件の契約まで伸びている。映像制作業界のみならず、文教や企業、医療系などでも活用されている。
今年も、今までの四つの柱を堅持するとともに、ハードウエア・ソリューション・サービスの拡充を引き続き進めていく。
カメラは、CineAltaカメラ「BURANO」の大型アップデートを3月に予定しているほか、VENICE 2なども使い勝手をさらに高める機能アップデートを予定している。
放送局では引き続き設備のIP化が進行しており、Networked Liveの導入設備数はさらに増えていくことが予想される。
中心的な存在である、ネットワークの統合制御・管理・監視を行う「VideoIPath」はブロードキャストコントローラー機能を強化。ソフトウエアパネルを実装し、ユーザー自身でUIをブラウザーベースで作成できるようにするなど進化を遂げており、今まで以上に多くのシステムに提案していきたい。
また、リモートプロダクションをさらに進化させるべく、HEVCコーデックソリューションを強化し、ソフトウエアスイッチャー「M2L-X」を中心としたソフトウエア・デファインド・ブロードキャストにも取り組んでいきたい。
ファイルベースソリューションは、SaaS型で展開されるソリューションが国内でも受け入れられるようになった。従来オンプレで展開していたソリューションのパッケージ展開をしていく。
昨年のInter BEEで、パッケージ型を採用した新たなニュース制作ファイルベースシステム「Contents Production Accelerator」の開発を発表し、注目を浴びた。同システムにより、より簡素に、より使いやすく、機能追加やセキュリティーのアップデートがしやすくなる。来年度の提供開始を目指して今進めている。
さらなる省人化、省力化、低コスト化への取り組みとして、これまでの個別対応のソリューションからSaaS化を進めて、パッケージ化していく。
こうしたパッケージ型を導入することで、これまで蓄積してきたノウハウや知見などを生かしやすくなる。数多くのユーザーが同一のソリューションを使用することにより、不具合対応が迅速に行えるメリットもある。定期アップデートによる機能追加を受けられるなど、業務の効率化も図れる。
今後、新しいコンテンツや体験を生み出す方にリソースをかけていけるような支援をしていきたい。楽しく良質なコンテンツを生み出して国内外で展開できるよう、コンテンツクリエーションの業界を盛り上げたい。一助となる活動を当社ができればと考えている。