2025.07.29 データセンターでGPUシェア MCデジタル・リアルティが描く戦略

人材育成や電力問題などDC業界の課題解決にも貢献すると話す畠山社長

 生成AI(人工知能)の普及を背景に、データセンター(DC)市場が急拡大している。そうした中、国内3カ所で計8棟のDCを運用するMCデジタル・リアルティが、最新のDC事情を明らかにした。

 同社は三菱商事と米大手DC事業者デジタル・リアルティの合弁企業。AIサーバーの発熱量増加に対応するため、空冷から水冷への移行が加速する中、冷却液循環システムなど水冷設備に対応したDC整備を進めている。

 千葉県印西市の「NRT12」では、ニデックと連携し、大規模液冷装置(In-Row型CDU)の試験運用を8月から開始する。ニデックは、CDU(冷却分配ユニット)で6000台の出荷実績があり、冷却ソリューションにも強みを持つ。

 GPUサーバーへの初期投資負担を軽減する新サービス「AI XCHANGE powered by Cloud Bouquet」も提供開始。MCデジタル・リアルティのDC内に設置されたサーバーを保有するマクニカや菱洋エレクトロのGPUリソースを活用し、三菱商事とモルゲンロットがサービス基盤を整備。ユーザーは、GPU1枚・1時間単位で利用できる。

 今後はグローバル人材の育成や地方へのDC分散も課題。MCデジタル・リアルティの畠山孝成社長は「電力供給問題とともに人材育成の仕組みを国家戦略のもと、官民連携で進めていくべきだ」と語った。

<執筆・構成=半導体ナビ