2025.01.21 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロニクス商社 25年の経営戦略 リョーサン菱洋ホールディングス 中村守孝社長

中村 社長

基礎をしっかり構築 営業力の強化に乗り出す

 菱洋エレクトロとリョーサンが経営統合し、昨年4月に発足したリョーサン菱洋ホールディングス(HD)。中村守孝社長(菱洋エレクトロ社長)は「2024年度上期の業績は厳しかったが、中国の影響、お客さまの在庫過多を言い訳にはしない。従来のエレクトロニクス商社のビジネスモデルからの脱却が遅れたのが原因」と分析する。

 統合のシナジーを発揮するために「従業員1人当たりの生産性向上」「お客様接点拡大」「ニーズに応える独自ノウハウ」の三位一体のサイクルを強化。既に菱洋エレクトロでは、スタートラインに当たる営業力の徹底強化に改めて乗り出している。

 中村社長は「前職の経験も踏まえ、従業員共通の基礎を今一度しっかりと構築し直す。イチからやり直すのは遠回りのように見えるがエレクトロニクス商社においては近道。今度こそ地力をつける」と説明する。昨年6月には社長直轄の営業改革推進事務局を結成。営業とロールプレーイングのマニュアルを作成し、従業員全員に配布。同10月からロープレの実践を徹底し、年度末に効果検証を行う。3月末までに技術・製品のマニュアルも作成する計画だ。

 AI(人工知能)関連の取り組みを強化した。菱洋エレクトロでは昨年10月から生成AI導入を検討している企業向けにサポートプログラム「AIテックメイトプログラム」を開始。米エヌビディアと生成AI開発・検証環境を整え、人材育成まで一括で支援する。

 海外戦略では「今後、中国の製品がどれほど国際舞台を席巻するか、今はその入り口」と推測。25年は中国で仕入れ先の発掘に注力する方針だ。

 グループの新人事制度の骨格は25年度中に策定する。新規開拓をはじめ、将来の企業成長につながる従業員の新たな挑戦を評価し、外部環境の変化に左右されるビジネスモデルからの脱却を促す。

 リーダー人材の世代交代、事業会社の早期統合検討など取り組むべきテーマは多い。中村社長は「今は1、2年という〝一瞬〟で企業の優劣がつく。25年度は当社および業界の今後を左右する正念場だ」と展望する。