2025.02.26 「日本のニーズを徹底研究した」 AI PC元年、メーカーから相次ぎ新型

Zenbook SORAシリーズ

パフォーマンス向上のため、冷却システムなども工夫パフォーマンス向上のため、冷却システムなども工夫

 生成AI(人工知能)の普及で高性能サーバーやデータセンターへの投資が拡大する中、2025年は「AI PC」の本格投入で市場の活性化が期待される。ASUS JAPANが2月に発表した14型ノートパソコン(PC)新製品2機種は、超軽量でありながら高いAI処理性能を備えたモデルとなっている。

 発売した「ASUS Zenbook SORA UX3407QA」は、クアルコムのCPU「Snapdragon Xシリーズ」、同UX3407RAは「X Eliteシリーズ」を搭載。AI処理専用プロセッサーのNPU(ニューラル・プロセシング・ユニット)「Qualcomm Hexagon NPU」を内蔵し、最大45TOPS(1秒間に45兆回の演算)の処理能力を実現する。

 Zenbook SORAシリーズは、日本独自の製品名を冠したモデルで、グローバル市場では「Zenbook A14」として、1月に米国で開催されたテクノロジー見本市「CES 2025」で発表された。開発段階で日本市場の調査を実施し、持ち運びやすさや作業性能、バッテリー駆動時間のバランスを重視。軽量化のために独自素材「セラルミナム」を採用し、天板やキーボード、底面に使用することで、耐摩耗性や耐衝撃性を向上させた。米国国防総省の軍用規格「MIL-STD 810H」に準拠したテストもクリアし、高い堅牢性も確保している。

 ASUSのシステムビジネスグループコンシューマービジネス事業部のデイビッド・チュウ統括部長は、「Zenbookシリーズは薄型・軽量PCの最上位ラインとして11年から展開してきた。日本市場のニーズを徹底研究し、AI PCとしての性能を追求した。25年にはPC市場の約30%が『Copilot+PC』に移行すると見ており、当社も積極的にAI PCを投入する」と語る。

 AI PCの定義について、米インテルは「NPUを搭載したPC」としており、今回のZenbook SORAシリーズもその要件を満たす。生成AIの活用を前提に設計されたAI PCは、従来のPCと比べ、より高度なタスク処理やセキュリティ機能の向上が特徴だ。

 新製品は、アイスランドグレーとサブリスキーベージュの2色展開。最上位モデルの価格は直販サイトで26万9800円。今年はAI PCの普及元年となる――。PCメーカー各社が投入を加速させる中、市場の動向が注目される。

<執筆・構成=半導体ナビ