2025.02.27 「AI PCが成長を主導」 インテル、25年末までに累計1億台以上出荷へ
インテルのプロセッサーを搭載するAI PC
2024年の半導体市場は、AI(人工知能)サーバーや高性能ネットワーク機器の需要が拡大し、前年比18.1%増の6260億ドルに達した。米調査会社ガートナーの最新レポートによると、25年も成長が続き、前年比12.6%増の7050億ドルに達すると予測されている。市場成長の主軸となるのは、AI機能を搭載したパソコン(PC)「AI PC」の普及だ。
米インテルは、AI PC向けに「インテルCore Ultraプロセッサー」を昨年から市場投入。マイクロソフトもWindows 11に生成AI機能「Copilot+(コパイロットプラス)」を搭載し、主要なPCメーカーがAI PC「Copilot+PC」の販売を開始した。インテルは25年のPC市場が前年比4%増となり、市場全体のうち41%をAI PCが占めると予測している。インテル日本法人の町田奈穂執行役員は「AI機能を搭載したPCが増加し、今年はAI PC浸透の年になる」と強調する。
1月に米国で開催されたテクノロジー見本市「CES 2025」では、インテルがAI PC向けの最新プロセッサーを発表するなど、AI PC市場の拡大に伴い、半導体業界の競争も激化している。ガートナーの報告によると、24年の半導体売上高で韓国サムスン電子がメモリー価格回復を背景に首位に返り咲き、インテルは2位に転落。米エヌビディアはAI向けGPU(画像処理半導体)需要の急増で売上高84%増となり、世界3位に浮上した。
インテル日本法人の大野誠社長は「AI PC向けの新製品を順次供給していく。25年末までに累計1億台以上のAI PC出荷を目指す」と述べ、AIによる価値提供をインテルが主導していく方針を示す。
同時に、AIの成長を促すオープンエコシステムの形成にも取り組むとともに、製品開発も加速。インテル18Aプロセス採用の主力製品「Panther Lake(開発コード)」を25年後半に投入予定だ。「26年前半に発売予定のデータセンター向け『Clearwater Forest(開発コード)』も順調に開発が進んでいる」(大野社長)とする。
競争環境が激しくなる中、大野社長は「インテルの元CEOアンドリュー・S・グローブは『危機の時、ダメな会社は消え、良い会社は生き残り、優れた会社は進化する』という言葉を残した」と語り、「インテルは過去にも厳しい時を乗り越え、成長してきた。AIへの取り組みを加速させ、さらなる成長につなげる」と意気込んだ。
<執筆・構成=半導体ナビ>