2025.05.15 電子部品大手8社、5社が売り上げ過去最高 25年3月期

電子部品大手8社の25年3月期業績

 電子部品大手8社の2025年3月期連結決算が14日までに出そろい、円安を追い風に5社が過去最高の売上高を更新した。一方、26年3月期の業績見通しは、米トランプ政権による関税政策の影響や円高を警戒し、慎重な予想を示す企業が目立った。

 ニデックは、HDD(ハードディスクドライブ)モーターやAI(人工知能)データセンター向け水冷モジュール、車載関連の伸長により、売り上げから最終利益まで過去最高を記録。TDKもセンサーや小型二次電池などが伸び、全ての項目で過去最高を更新した。

 日東電工は、売上高が初めて1兆円を突破したほか、全ての利益項目で最高益を達成した。ミネベアミツミは、データセンター関連の旺盛な需要により13期連続の増収を記録し、過去最高も更新。アルプスアルパインも構造改革の進捗と円安が奏功し、売上高が過去最高となった。

 一方、26年3月期は全社が減収を予想、営業利益も多くが減益の見通しを示している。米中摩擦激化への警戒から、中国から米国に向けた輸出比率を1桁台後半から1割前後に抑えようとする企業が多い。各社は「関税政策による直接的な影響は限定的」とするが、自動車の世界的な生産台数への間接的影響を懸念する声が増えている。

 ニデックは「売り上げに依存せず高い利益成長を目指す」とし、26年3月期も営業利益で過去最高を計画する。TDKとミネベアミツミは、米国の関税政策が市場に与える影響などを踏まえ、「ベースシナリオ」と「リスクシナリオ」の2本立てで見通しを公表。TDKはベースシナリオでの営業利益の過去最高を見込む。

 今期もAIやADAS(先進運転支援システム)、高機能モバイル端末向けなどの堅調な需要が続く見通しで、EV(電気自動車)需要の鈍化をHEV(ハイブリッド車)の伸びが補う傾向もみられる。足元の受注では米関税に伴う大きな変化は見られず、「影響は4-6月期以降」と予想する企業が多い。