2025.08.28 「AI面接官」で採用市場に新風 プロップスの革新サービスに迫る

松元氏は「内定が早く出るようになることで求職者の可能性が広がる」と話した

MiAI面接MiAI面接

 生成AI(人工知能)が求職者とやり取りする「AI面接官」が登場した。仕掛けたのは、ディー・エヌ・エー(DeNA)グループのベンチャーキャピタルが出資するプロップス(東京都中央区)で、求人企業は自社の採用方針に合うAI面接を実現できる。同社の松元勇人代表取締役が追求するHR(人材)テックの最前線に迫った。

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 同社が7月に発表したのは、生成AIを活用したAI面接官「MiAI(ミアイ)面接」。企業や職種ごとに素早くオリジナルのAI面接官を作成。人間の面接官のように求職者と対話し、対話内容に基づく質問をリアルタイムで生成してくれる。

 具体的には、自社の採用方針や募集職種に合わせて面接時の質問や評価基準を設け、最適な面接を行えるようにする。さらに、求人ごとに詳細な評価レポートを出力し、採用担当者の意思決定まで支援してくれる。

 導入企業は、初期選考にかかるリードタイムと人的コストを削減する効果が得られる。既にこうした利点が評価され、約20社の企業が導入しているという。

初期選考を効率化

 同社がAI面接で支援を行う背景には、企業の採用活動を取り巻く環境の変化がある。人材獲得競争が激化する中、採用担当者の負担が増大。採用活動の効率化が求められていた。

 松元氏は「求職者の増加で面接の回数が増えるとともに、(ビデオ会議システムの)Zoomによるウェブ面接が一般化してきた」と分析。こうした変化やAIの進化が相まって、AI面接の役割が増すとの見方を示す。

時間や場所の制約解消

 AI面接が求職者にもたらす効果も大きい。松元氏は「サービスのデータが上がってくるペースは平日より休日の方が多い」と、面接を受ける時間帯の自由度が高まっている傾向について説明した。スマートフォンやパソコンで時間や場所を気にすることなく面接を受け、内定までの時間を短縮化できる。

 一方、求職者の意欲や強みが求人企業のニーズにマッチングすれば、労働市場で得た価値以上の活躍も可能だ。松元氏は、こうした人材をAI面接で発掘する可能性にも注目し、「二次試験のようなサービスを意識している」と話した。他社のサービスに組み合わせて使用するケースも出てきているという。

 「世の中の半分の面接がAIになってほしい」と松元氏。今後も採用活動を巡る多様なニーズを踏まえて機能を拡張する方針だ。視線やふるまいなどの分析の機能を高めるほか、多言語化も計画している。

 時事通信が主要100社を対象に行ったアンケート調査によると、採用活動でAIを導入する企業が約3割に上った。総務省の労働力調査を見ると、2024年の転職者数が331万人と3年連続で増えており、労働市場の流動性が高まる動きも企業を採用業務の革新へと突き動かしている。それだけに幅広い業種で、AI面接を使いこなす機運が高まりそうだ。