2025.09.26 【関西エレクトロニクス産業特集】大阪・関西万博の経済効果 アジア太平洋研究所 稲田義久研究統括に聞く
前半消費額は3541億円
ライセンス収入6~8%でミャクミャクが寄与
大阪・関西万博の閉幕が迫っている。経済分析専門家のアジア太平洋研究所(APIR)の稲田義久研究統括に経済効果を聞いた。
-経済効果の計算根拠は。
稲田氏 7月末までの会期前半の調査のサンプル数は18歳以上の日本人400人にウェブで聞き、外国人は万博会場と関西国際空港で492人からアンケートを取った。来場者の消費額は会場内と会場外で発生する費用を試算した。買い物代と飲食費は会場費、交通費と宿泊費は会場外費用としてアンケート調査などにより計算。来場者数に消費単価をかけ合わせた会期前半の消費額全体は3541億円と試算した。この数字には、AD証で入場する万博関係者の72億5000万円も含まれている。
7月末時点の累計来場者数は、日本国際博覧会協会(以下協会)によると1236万6257人。内訳は日本人973万2244人、外国人263万4013人。日本人の地域別は協会の資料をもとに推計、大阪府在住者、大阪以外在住者、関西以外在住者に分け人数を試算した。外国人の宿泊費では3泊4日を想定して宿泊費を計算すると1人8万7269円の消費と試算。
-閉幕が迫っている折、最終的な来場者数は。
稲田氏 協会では会期中2820万人の予想だが、9月8日(取材時)現在で1802万9000人(9月12日時点では1900万人)だった。残り日数からみて2820万人は厳しいかなと思う。9月6日に1日21万人の日があるが、この数字がこのあと続いても予想には届かない。
-会期前半で3541億円の経済効果ということですが、年間の見込みは。
黒字化が見える
稲田氏 APIRは予測ではなく、実際の消費から割り出して推計している。8月15日に入場券の販売枚数が1866万枚、この時点で入場券収入は運営費の黒字目安の969億円を超え黒字化がみえてきた。特筆すべきは「ミャクミャク」のライセンス収入で、ミャクミャク・グッズも菓子類、衣料、雑貨類などで〝バカ売れ〟状態にある。物品販売額の6~8%がライセンス収入と聞いている。会期前半はライセンス含めその他収入を推計191億円とした。この調子ならもっと増えそうだ。
-APIRによるこれまでの経済効果見通しは8913億円、上振れの可能性は。
稲田氏 後半の来場者の増加や、混んでいるうちに買っておこうという消費者心理が働き、グッズの動きは激しくなる。グッズの値崩れは考えにくい。会期末の駆け込みで当初の消費見込み額が上振れする可能性は十分あると考えている。